加工機の切削音が私の体を揺らしていた。六軸のロボットたちは今日もげんきに部品を振り回して、それぞれにセットしている。ブロワとときどきのアラーム音。私はここで生きている。あるいは文章を補給しなければならなかった。自身の中の言葉はとうの昔に枯渇していて、私はだれかのセリフをそのまま伝えるだけのテープになった。ここでメモを書こう。
リーダブルコードを読んだ。より良いコードを書くためのテクニック、とうたっているだけあって、いろいろと優れていた。共感したのは「優れたコードは理解しやすいコードである」ということだ。たしかにそうだった。コードは機械だけではなく、人も読むものである。なにかを共同でつくるとき、保守するとき、コードは自分以外の人に読まれる。そのときに理解に時間がかかってしまうものではダメなのだ。自分以外の人とは数ヶ月後の自分も含まれる。
後半の章は、わたしのレベルではまだまだ活用できそうにないが、前半のものはすぐに適用できそうだ。変数名や関数名をもっとわかりやすいものにしたり、コメントをつけることだ。類語辞典を使って、もっと明確な意味がないか探すというのは「なるほど!」と思った。
本書が述べている「優れたコード」の価値観は、機械設計でも適用できる。図面をかくときも、わかりやすいものでなければダメだ。寸法の抜けがあったり、基準面が一致していなかったり、加工の実現性のないものをかいてはダメだ。
ただ、もっとも優れた機械設計というのは設計しないことだ。わたしたち技術者はの仕事は、技術的な問題を解決することだ。図面をかくのが仕事ではない。設計せずに問題が解決できるならこんなに素晴らしいことはない。購入品で済ませる、ありもので済ませる。これらのことを考え抜いて、それでもだめなら設計する。きっと、コードをかくときも、こんなイメージでいいのではないか。
リーダブルコードの全てを理解してつかいこなすのはまだまだ時間がかかりそうだ。けれども、手元にはあったほうがいい。わからないことがあったら、少しずつこれで調べていこう。
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リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)
- 作者:Dustin Boswell,Trevor Foucher
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/06/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)