伝聞や引用によってしか文章を構成できないとなると、私の意義はどこにあるのかと不安な気分になる。それでも等しく朝は来て、昨日と同様のシステムにもとづいて行動するのみとなる。
相対性理論の本を少しずつ読み進めている。相対性理論とはアインシュタインが提唱した理論で、なんかよくわかんないけど相対的らしい。1905年に発表した第一論文を筆頭にしたひとかまたりを特殊相対性理論と呼び、10年くらいしてから発表したのを一般相対性理論と呼ぶ。何が違うのかはまだ私もよくわかっていない。これから学ぼうと思う。
相対性理論が発表される前のことから調べていこう。アインシュタインは相対性理論以前の空間や時間についてなんかの講義で説明している。空間における物体の変化は自在にできるが、時間は絶対的で画一的で統一的であった。30cmの長さの定規は空間の中でどのように動かすことも可能だが、時間をいったりきたり、捻じ曲げることはできない。そんなニュアンスだった。さらには、空間はユークリッドで座標はデカルトだった。私たちは立体的な碁盤の目の中で生きている、と仮定していた。
哲学者たちは、ある種の基本的な概念を、それを制御し得る経験領域から、”先験的必然”という捉え難い高所へと運ぶことによって、科学的思考の進歩に対して1つの有害な影響を与えたと私は信じる。(中略)
物理学者たちは、これらを修復し、ふたたび使用可能な状態におくために、これらを”先験的必然”の神殿からひきずり下すことを、事実によって余儀なくされてきたのである。
「相対論の意味」 岩波文庫 p13
引用中の「これら」には「概念の世界」が入る。アインシュタインは哲学者が提唱する”先験的必然”を払いのけたかったようだ。”先験的必然”というのは、経験によらないスーパー当たり前!な概念である。カントとかは「人は経験によらない当たり前を有しているよ!きっとね!」みたいにそれを導入してたが、アインシュタインはそれをよく思わなかったらしい。実存している世界にどう影響を及ぼすか。物理学者というのは、そういうのを知りたい人なのだろうね。知らんけど。
- 作者: アインシュタイン,矢野健太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/09/17
- メディア: 文庫
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