片腹痛いという言葉が自在に使える人間でありたい。いかなることにもあざるような真っ白な素肌で痛い。フライデーナイトの前夜祭が今夜行われるそうで、ギリシャとの対戦を明日に控えたメンバーたちはピッチで調整を行っている。野々村もそのなかの一人に数えられる。彼は唯一無二の戦友だった。
思い出は重いでーとくだらないシャレをいう奴はクラスに一人か二人はいる。野々村は口には出さないがそのようなネタをA4ノートに書き留めている少年であった。ある日、道ばたに落ちていたノートを拾った僕は野々村が見えるようになってしまう。彼が言うにはこれは人間界で作られたものではなく、コクヨという他界からやってきたキャンパスノートという絶望を意味する紙切れらしいようだ。「人の名前を書くと後生大事にされる」というアドバイスに従って僕は自分の名前をつらつらと書いてみた。するとどうだろう。心臓の鼓動が妙に速くなり息をするのも苦しくなってきた。フィーバー状態のままコンクリートと床をともにした。
ふと目覚めると、自分が巨大な虫になっていることにきがついた。また、そしてママンと西の魔女は死んだ。ビックブラザーとマリア様はあなたを見ているし、ハンスギーベンラートはヘルマンハイルナーと恋仲になっていた。相変わらず鼠はジェイズバーで飲んだくれているし、半沢は五億の融資を回収していた。何を言っているのかよく分からないがすべて本当の事だった。
自分が将来犯すであろう犯罪はすでに予知されており、知らない警察官に身柄を確保された。流れよわが涙、とは言わなかった。彼はパーカーのブルーブラックでスカイツリーを描くと、突然思いついたようにわざとらしく咳をした。鉄格子に収容されていた僕はなぜだか闇の力が使えるようになっていて、パワーとスピード、正確さと成長性がAランクのスターなんとかを操る事ができた。いやいやこんなところに閉じ込められた気がしていたのに、驚異的な能力を持っていると分かると「別にでなくてもいいか」と開き直るようになった。それから僕は数えきれない本を読んだ。日常から切り離された空間は僕に本を読むことを強いる。ゼロ。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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