人生は戦いである。いったいだれがどう定義したのか分からないが、そう決まっている。戦いをテーマにした小説も数多く存在する。えいやほいや皆で争い、読者である僕らは血が沸き立つ興奮に襲われる。何を言ってるんだ。
『老人と海』を読んだ。ようするに老人と海の戦いの話だ。おじいさんは、昔はすごい人だったけど、今ははもうだめな人だ。一緒に漁に出掛けていた孫は独り立ちし、おじいさんはまた独りになった。孤独な彼は海へ漁に出て、とても大きい魚に出会った。
いつになく語彙が不足しているが、勘弁してほしい。いま、僕はきっと魂のやりとりをしているんだ。極限状態の頭脳はショート寸前で、だから単純な言葉しか出てこないのだ。
生死の狭間で、おじいさんはなにを思うか。それは魚のことであり、命のことであり、孫のことだ。彼なりの希望。
希望をすてるなんて、馬鹿な話だ、そうかれは考える。それどころか、罪というものだ。いや、罪なんてことを考えちゃいけない。ほかに問題が山ほどある。それに、罪なんてことは、おれにはなんにもわかっちゃいないんだ。
おれにはよくわからない、罪を信じているかどうかもはっきりしないんだ。
しっちゃかめっちゃか。彼にはそんな単語が似合う。いや、似合わないかもしれない。質実剛健とかがいいのかな。怪しい。
怪しいのは僕の思考回路だ。おやすみ。
いまの時代に希望が存在しているかは定かではない。そもそも、僕らが命のやり取りなんてする機会はそうそうない。ストレスフルの社会に生きているが、別に死ぬ訳ではない。そのような時代に必要なのは希望ではなく、一種の暇つぶしであり紛らわせであり慰みだ。一生懸命稼いだ金は、ストレスをなくすために使われていく。虚無だ。圧倒的な虚無だ。やり場のない想いがきりきりと体をしめつけてくる。
おじいさんが取り戻したのは過去の栄光か、身の安全か、正しい記憶か。ライオンの夢を見る。
- 作者: ヘミングウェイ,福田恆存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/05
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