マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

記録-20140819

 時間がところてんのように押しながされていく。にゅるりとおじいさんになっていたいが、現実は厳しい。今日も明日もあさっても、毎日生きなくてはいけないのだ。あらゆるストレスを詰め込んだ電車に乗って、僕はきょうも出社する。中吊り広告はよくある週刊誌の見出しで埋められていた。晴れでもなく雨でもない、中途半端な気候を盗み見た。駅のホームに降り立つと乗客たちはくものこを散らしたかのようにほうぼうへ行ってしまった。彼らにも巣があるのだろう。ぼくもある。

 未だに電話対応に慣れることができない。僕がいる部屋には内線だけしか来ないが、それでも緊張する。この世の中で嫌いなものを三つ上げるとすれば、洗濯と唐辛子と電話と答えるだろう。今日もとつぜん電話がかかってきて、あわてて受話器をとった。頭がうまく回らず、用件を聞き取るのも一苦労だった。

 話すのが苦手は人は、往々にして聞くのも苦手なんだと思う。ぼくがそうだ。会話は前情報を元にして繰り広げられる戦いだ。

 例えばあなたがフレンチトーストを食べたいねと言う。でも僕はフレンチトーストが何なのかを知らない。それって何?と尋ねてしまう。いや、その場合は知りたいことが一つだけだし、あなたも簡潔に答えることが出来よう。(甘ったるいパンのことだよ)

 しかし、「フレンチトーストがペガサス流星拳によって葬り去られたけど、サラエボの少年が眠るのはいつだっけ」と質問されるともうどうしようもない。あなたは知っている。フレンチトーストが何者か。ペガサス流正拳の強さ。サラエボの少年と我が社の関わりあい。さらにさらに、YES/NOで答えられない質問を投げかけてくる。

 これも、文章ならなんとか理解することが出来る。何かが分からないことなのかが分かる。しかし、会話は速い。音の速さは秒速330メートル。彼らのリズムに乗ることは容易ではない。本に書かれた文章は、秒速30万キロメートル速さでやりとりされているのにね。不思議だね。

 そういえば、教授にも何か言われた気がする。「君は会話のテンポが遅い」と。それは僕が彼らの会話を100%理解してから受け答えるからだろう。その間は何も言わない。むだ時間によって、相手は不審に思って「分からないの?」という顔をする。いや、分かるよ。部分的には。しかしあなたのペガサス流正拳のネタ元が分からないのでそれを考えているんです。

 保留としての受け答えを身につけたい。場をつなげる対応をしたい。難しいことだ。

聖闘士星矢 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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