機械またはAIのみで構成される経済圏は存在しうるか。彼らはお金のやりとりに価値を見出し、各々の成果物を紙幣によって交換することがあるか。おそらくYESだ。彼らが全く均質な存在で、すべての意思が統合されているなら話は別だがきっとそんなことはない。我々人間のように別個で分散されているのだろう。そうして、いいかんじに経済活動を行うのだ。発電ロボットとデータマイニングロボットとYoutuberロボットたちがビットコインを使ってやりとりをする。楽しそうな未来だ。
特殊相対性理論が与えるのは、相対性原理と光速度一定というふたつの仮定を立てると新しい力学がわかるよ!という知見である。相対性原理とは「力学の方程式が成り立つすべての座標系においてまったく同じ電気力学や光学の法則がなりたつこと」である。この座標系は慣性系と呼ばれる。一方向に一定の速度で移動する系のことである。加減速はしない。
光速度一定とは、そのままのことだ。光の速さはどうあがいても同じ。光源が静止していても音速で動いていても同じスピードらしい。この異常さがおわかりだろうか。
光速のストレートを放つ大谷投手をイメージして欲しい。彼が通常のマウンド上で投球した場合と、音速で移動する軽トラの荷台に乗って軽トラの進行方向へ投球した場合を考えよう。私はそれをはたから見つめていたとしても、いずれの場合も投球スピードは同じなのだ。光速のストレートに音速が上乗せすることはない。なんてこった。そうすると、軽トラにのってる大谷投手の視点では、放たれたボールは若干縮んで見える。この考えはローレンツさんの収縮仮説と同じことである。ただ、アインシュタインはローレンツさんとアプローチの仕方が違ったのだ。なるほど。
ここで、彼が光速度一定という仮定を設けた経緯を書く。アインシュタインは収縮仮説やらエーテルやらの矛盾をうまく説明するために、時間の同時性に着目していた。同時とは、時間とは一体なんだろうか。そして、時間とは時計が示すそれであり、その時刻合わせには光の速さで飛ばされる信号を想定しよう考えた。離れた場所にある同性能(同じテンポで時を刻む)の時計を時刻合わせするには、両者で信号を往復させ、そのときの受信時刻を用いる。難しく書いたがそれほど面倒なものではない。してみると、我々は必然的にある仮定を立てていることに気づいた。それが光速度一定である。なるほど。
光速度一定の仮説によると、空間だけでなく時間も収縮するのだが、それについてはまた次回。
アインシュタイン論文選: 「奇跡の年」の5論文 (ちくま学芸文庫)
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