消費税8%は敵だ。あのせいで、小銭を使う機会が増えた。財布の中は1円玉や5円玉たちがひしめきあっている。「財布の中に同じ硬貨が5枚以上入っている人は、頭がよわい」と言われている昨今では、僕は十二分に頭のよわい人間なのだろう。
解決策としては5円や10円、50円がおつりとして返ってくるように、会計時に計算してお金を渡す方法がある。例えば236円なら241円、487円なら1012円など。「なんだこの、出し方は!?」と店員さんの虚を突き、それでいてエレガントににおつりがを得ることが可能だ。
すごいなあと思う。僕は計算が苦手だ。算数のテストでは、三桁のかけ算は常に違う答えになったし、繰り下がりの引き算はひいこら言いながらやっていた。しちめんどくさい計算から離れたい!と思ったときにちょうど数学が始まり、πや方程式に助けられた。今でもほとんどの計算は電卓で行っている。
そのような計算嫌いな僕は、彼らのようにエレガントにおつりをもらう渡し方ができない。時間をかければ計算できるのだが、店員さんの素早い反応、後ろの客からのプレッシャーからに押しつぶされてしまう。しまいには1000円札を渡すのだ。
「こまかいのはありますか?」
「いえ、ありません」
嘘だ。嘘だ嘘だ。財布の中にはたくさんの小銭があるのに、僕はそれらを無視して1000円札を出しただけだ。そうして増える小銭。彼らも大変だろう。真夏日にあんなせせこましいところに閉じ込められ、次の機械をうかがう人生。使うのは僕なのだから、もうちょっと責任を持って飼わないといけない。
他の人はどうしてるのだろう。ちゃんとおつりを計算して出しているのだろうか。お札ばかり使っているのだろうか。プリペイドか。カードか。
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