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雨の停留所で僕はバスを待っていた。周りにも同じ境遇の人たちがいたが、彼らは一様にスマホをいじっていた。音はなかったが表すとすればいじくりちくりとかそんな擬音が適当だと思う。
いったいスマホで何ができるというのか、絵合わせゲームや文通アプリ、ネットサーフィンと自分語り@世界。僕はいらない情報をむやみに取り込む悪影響を理解しているつもりなので、極力スマホを使わないようにしている。来月で契約からちょうど二年経つのでガラケーに機種変更するつもりだ。
なぜみんなスマホを手にするのか。片手で操作できるからだ。文庫本や手帳は片手では扱えない。ページをめくる時や、メモをする時はもう片方の手で本ないし手帳を固定する必要があるからだ。片手で、いや指先ひとつで扱えるデバイスを発明したジョブスさんは本当にすごいと思う。
それならば片手で読書ができれば、メモがとれればどうなるだろう。きっと人類の半分くらいは読書やメモ書きに移り、世界の生産性は1.5倍くらいになるはずだ。手書きに近いディスプレイを作ることは難しくても、片手読書、片手メモはわりあい簡単かもしれない。
帰りの車内でそんなひらめきが降りてきて、僕は片手メモを考えることにした。脳内に浮かんだイメージはあれだ。
デュエルディスクである。手首に台座を取り付けてメモ帳を書きやすい角度で装着すれば…。もっと軽量化が必要だ。それに常時手首にメモ帳がついているのはどうかと思う。それならば手首に磁石入りのリストバンドをつけて、メモ帳を磁石で固定…。
なんかもうよくわからないからやめた。
そんなひらめきが、後の世を変えることになったとは誰が想像しただろうか。なんて伝記が出来て欲しいなあ。