電球が切れかけると、なにやら虫の知らせが届く。あぁもうそんな時期だなあと思いながらやおら立ち上がり、手を伸ばしぐいとやると天井に触れる。そこから電球に手を触れてタイマーをセットする。目覚まし時計のように「あと何時たったら入れ替えるぞ」という知らせが欲しい。
タイマーをセットして。のくだりで始まる歌がこの世のどこかにある。僕はそこしか空で歌えないので延々とセットし続ける。サーブ権は常に僕。誰にも渡さないわ。そのタイマーは青みがかったLEDライトで点滅していてネオンやイオンの光り輝く懐かしの景色はどこにもない。手のひらにちょうど収まるサイズもあるし、三人で手をつないでも周りをぐるっと取り囲めない巨大なサイズもある。チクタクバンバンも言うし、ハッチポッチもいう。
早く新しいコーヒーを買いたいので、今のごくうす!を一日に二杯飲むようになった。量が増えたが薄い事にかわりはないので、多量にカフェインを摂取する恐れはない。ペーパーフィルターをセットして粉を一杯落とす。そこにケトルで沸かした湯をゆっくりそそぐ。ゆっくり丁寧に入れてやると、粉の中心から徐々に膨らみあたりは香ばしいの匂いに包まれる。うすいけどね。そいつをごくごく飲む。タイマーをセットする。
脳内に渦が巻いている。何かが出来そうでそれでいて何も出来ないような。オンとオフの中間にスイッチが入っている。どちらかに傾いてさえいてくれれば、方向性は固まるしモチベーションは上がる。それでも彼はいつまでも中庸だった。おかしい、明らかにおかしい。便座のふたは閉じたはずだし、ガスの元栓はしめた。皿洗いもしたし、タイマーもセットした。しかし誰も走り出さない。にしむくさむらいが刀狩りをはじめない。赤木がスクリーンアウトを行わない。森崎君はボールがとれない。僕は勉強ができない。
とうにゼロになったメモリをゼロイチレベルでごまかして、帳尻をあわせてエディタを広げる。可能性は確かに無限大だが、僕が通る道はたしかに一本だけ。後にも引けないし降りる事もできない。手を触れたら電流が流れる。後ろのおっさんから一千万円の引換券をもらったが、場所と時間は明言されていない。
くそーた曰く、べじったれ!
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