マトリョーシカ的日常

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【書評】十六+一人の偉人から学ぶ勉強術/「偉人たちのブレイクスルー勉強術」【感想】

勉強スタイルの確立こそがブレイクスルーヘの道。

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偉人たちのブレイクスルー勉強術 ドラッカーから村上春樹まで (文春文庫)

 久しぶりに生協の書籍コーナーに立ち寄った。明日は修論の発表があり、それが終われば修了式まで大学に用はない。もしかしたらここに来るのも最後になるのかもと思いながらこの本を購入した。本書は教育学やコミュニケーション力を専門としている齋藤孝さんが自身と十六人の偉人たちの勉強術を紹介している本である。ブレイクスルーを起こすには自分に適した勉強術を確立し、それを持続する必要があると彼は述べる。新しいスキルがなかなか身に付かない、勉強が捗らないという人は是非この本を手に取ってほしい。


マイ古典とフィジカル強化

 本書では様々な勉強法が取り上げられている。僕がそのうち強く興味を持ったのは渋沢栄一の「マイ古典」勉強術と、村上春樹の「頭脳のためのフィジカル強化」だ。
 
 渋沢栄一は明治維新ごろに活躍し、官僚から実業家となった人物らしいが僕は詳しいことはよく分からないのでその辺りは割愛する。彼の勉強術(というより生き方と表現した方が適している)は自分の好きな「論語」を体全体にしみ込ませ、そのエッセンスを経営に活かすことだった。お金を扱ういじきたない商売に論語の道徳的教えなど全く合わないと批判する人がいたが、彼は「経済と道徳の一致」をうたい邁進していく。

 古典は時間の試練に打ち克った非常に価値の高い書物だ。読み継がれている時間が長いというのはそれだけ多くの読者から支持を得ているということだ。論語に限らず他の古典でもかまわないが、一冊の古典を何度も熟読し自分の軸にすればきっと力強く生きていけるはずである。

 村上春樹は皆さんご存知の小説家である。彼は小説を書くことを肉体労働ととらえており、また「人間存在の根本にある毒素」と向きあい処理していくはなはだ不健康な作業だとしている。そこで不健康な作業には健康な体で立ち向かわなければならないという結論に着地する。以来、毎日十キロ相当を走るのだとか。

 脳と体のバランスをとるというのは広く言われている考えだが、実際にやっている人は多くない。それは持続するコツを知らないためだ。文中で村上春樹は心地よさを感じる時点で作業を止め、明日に持ち込むのが大事としている。この辺りは参考になったので明日から試してみようと思う。

齋藤孝の強さ

 暇つぶし程度にはなるかと読み始めた本書だったが、意外とためになることがありすらすら読むことが出来た。僕はこの本から著者の強さを感じた。彼は既存のものを編集したり、複雑なことがらを一言で表す能力が高いのだ。紹介されている十六人の偉人たちは生まれた場所も時代もバラバラで、性格も異なるし彼らは友達同士ではない。しかし齋藤孝の手にかかればNHK今日の料理のように一定のスタンスを持った個性として調理される。思考の整理学で言うところの「知のエディターシップ」のレベルが高いのだろう。

【書評】質<<量<<<(越えられない壁)<<<まとめ記事 /「思考の整理学」 - マトリョーシカ的日常

 全部吸収するのは難しいと思うので興味のある勉強術をまねしてみてほしい。

 こちらからは以上です。