歴史はほとんど覚えていない
若い読者のための世界史(上) - 原始から現代まで (中公文庫)
高校のころ、世界史を少し勉強したが全然覚えていない。理系だったので社会科目は地理一つだけやってセンター試験に望む予定だったからだ。試験もなんとかなり、大学へ入学したまではいいのだが今になって「もっと日本史、世界史を勉強しておけばよかった」と思うことが多くなった。
最近はローマ人の物語を読む進めて、多少は教養が深まった気がする。しかしもっと世界史全体を知りたい。世界史の教科書を買っても良いが量が多すぎるしどこから読めば良いか分からない。
というわけでこの本を買った。上下の二巻構成になっており、今回紹介する上巻は四大文明から中世あたりまでを説明している。
とにかく分かりやすい。なにしろ筆者が若者に歴史を説明するという構成で本が書かれているので、世界史を広く浅く、一本道で理解することが出来る。時折挿入される挿絵も、イメージを想起しやすくしている。
一番ためになったのは中東あたりの歴史の説明だ。僕は今まであのあたりは「なにか顔を隠していて怖いことを企んでいる人たちが住んでいる砂漠」ぐらいのイメージしか持っていなかった。しかし、それは彼らの思想が周りと合わなかったからであり、彼らの思想自体に悪は存在していないと思えるようになった。
一方他の民族には、つねにだれにも見えていないたったひとりの神について語り、きびしく難しい掟や習慣を、ただ見えない神がそう命じるからといってかたくなに守るユダヤ人は、しだいにおかしく、不気味に思えてくるのだった。
あと、帝政ローマの辺りはローマ人の物語でさんざん読んできたのでするする頭に入ってきた。カエサルがちょっとしか書かれていないのはやっぱり、塩野さんが熱烈なカエサルファンだからかな。
本から得たこと
エヴァンゲリオンはギリシア語で「良い知らせ」という意味、など世界史を学ぶと漫画やアニメの用語の造詣に深くなる。また宗教を理解するは信仰している人を理解することにもつながる。当たり前のことだけど。
何回でも読みたい良書だった。下巻も買おう。
ローマ人の物語を読むなら戦闘シーンの多い三巻からがおすすめ。一二巻は読み飛ばしてOK。
新潮社
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