構える。
あなたは構えているだろうか。そして何のために構えているのだろうか。宮本武蔵は『五輪書』において、刀はただ構えるのではだめだとしている。
敵をきるものなりとおもひて、太刀をとるべし
刀は人をきるものだ。当たり前のことだが普段はなかなか気づくことができない。
五輪書は宮本武蔵が書いた、二天一刀流の基本的伝書である。地水火風空の五巻で構成されているが、ボリュームは多くなくあっさりと読むことが出来る。宮本武蔵は一生に幾度となく命をやりとりしてきた。淡々とした彼の言葉には、ずんとした重さがある。
現代人は刀を構えるような場面にはなかなか出くわさないだろう。しかしこれと似たような事例は多くある。例えば刀を構えるを「仕事をする」に言い換えてみる。あなたは漫然と仕事をしていないだろうか。それはよくない。なぜあなたは働くのか。
お金を稼ぐためだ。そう、僕らはお金を稼ぐために仕事をしている。あなたが勤務時間に行う一挙手一投足は収入に関係してくる。たとえコーヒーを飲んでいようとも、ネットサーフィンをしていようとも、はたまた仲間と談笑していようとも。
「要するに目的意識を持てってことでしょ」
そんな甘っちょろいことではない。武蔵は自己啓発セミナーに通っていたわけではなく、朝活をしていたわけでもない。真剣勝負。一瞬で決まる命のやり取りを行ってきたのだ。そして全てに勝った。敵をきらないと死ぬのだ。そのために彼は刀を構える。
たとえ仕事がなくなっても死ぬことはないかもしれない。日本は物価は高いが、それなりのセーフティネットは存在する。しかし今よりずっと生きづらくなるだろう。だからこそ、自分の行動にもっと注意を払うべきだ。毎日を生き抜くために。
おわりに
金がない時は再読に限る。去年からかなりの本を読んできたが、一度だけでは内容を理解できないものや、忘れてしまったものがある。本棚の肥やしになっている一冊をぱらぱらとめくってみると、新しい発見があったりする。再読といっても読書の面白さは失われないのだ。
- 作者: 宮本武蔵,渡辺一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/02
- メディア: 文庫
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