マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

コーヒーのある生活/HILLS マイルドブレンド AP 350g

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 社会人になって三週間ほどたつ。ひと月前のあの長い春休みのような期間は、もう二度と手に入ることはない。いや、春休み以前のあの学生生活も戻ることはないのだ。サークル活動に明け暮れ、勉学にほどほどにいそしみ、新聞配達をしていたあのころ。「残念だ」と思うことはまだないが、きっとそのうちにあれが人生で最も貴重な時間だったと気づくのだろう。少々無自覚に浪費しすぎていたかもしれない。


 コーヒー代がかさむようになったので、前回よりは安いコーヒーを買うことにした。HILSSのマイルドブレンド。小川珈琲は200g未満で700円ほどしたが、これは350g入って値段は500円たらずだ。コストパフォーマンスが良い。僕は味には無頓着なので、安くて量があるものが向いているのかもしれない。

 香りは弱い。味は薄い。しかし、これは以前飲んでいた珈琲が濃い味だったからだ。僕の舌がそれに慣れてしまったのだ。このくらいの味加減なら夕方に飲んでも夜眠れなくなることはない。「悪くない」。

 学生生活が濃くしっかりとした味わいだとしたら、社会人生活はマイルドで淡々とした味になるのだろうか。学生でいられる期間は四年ないし六年と明確に定まっていた。一年にとるべき単位数も明記してあるし、シラバスを見れば自分がどのくらいの知識を得られるか理解することが出来た。しかし、社会人というものは僕にとって全く不可思議な存在だ。彼らには定まった期間がない。目標も目的もない。定年というあやふやなゴールへ、とぼとぼと歩く。「僕もこれからそのようになる、そのようになってしまうのか」とぬるいコーヒーを口に含んで考えた。カップの底はまだ見えない。

 同じコーヒーを飲み続けるのもいいけど、こうして様々な銘柄を飲み比べるのもいいものだ。文庫本につけるふせんのように、自分の中にちょこんとしおりを置いておく。何年かしてまた同じコーヒーを買ったら、その時のことを思い出せるように。

ヒルス マイルドブレンド AP 350g

ヒルス マイルドブレンド AP 350g