古くて新しい生き抜く方法
読みたかった本をついに買った。ハードカバーを定価で買った。古本十冊分だ。しかしその価値はあった。これほど読み終わって「うぉぉ!」と思った本は久しぶりだ。著者は今までの働き方とは異なる、ナリワイによって生活する方法を提案し実践している。この本ではナリワイに関するもろもろの説明を実体験を踏まえて面白くおかしく書いている。副業、複業に興味がある方におすすめ。
そもそもナリワイとは何だろうか。この本では「生活の充実から仕事を生み出す手法」と言っている。パリっとしたスーツを着てばりばり働くよりも、山村でろくろを回したりパンを焼いてしのいでいるイメージに近い。仕事を一つにしぼらないのもナリワイの特徴だ。ひとつのナリワイでは収入が少ないが、それを複数かけもちすることでリスクを低くすることができる。例えば著者の場合はブロック塀ぶっこわし組合を作ってみたり、自作ウェディングやモンゴル修行ツアーを企画している。以前ホームページを覗いたらみかんが箱で売られていた。
当然このような仕事の需要は限りなく少ない。しかし、それゆえ競争相手がいなかったり独自のサービスを提供できるなどの利点がある。なんだか楽しそうだ。
ナリワイのつくりかた
ナリワイの探し方、作り方は本に書かれているが本の構成が悪いく、恐ろしく分かりづらいものに仕上がっている。このまま読み進めると「へー、こんな生き方もあるのかー」と漠然と良い気分になるだけなので、以下に分かりやすく書き出してみる。
- 支出を減らす
- ナリワイを見つける鍛錬を行う(「未来をみつめる」「日常生活に疑問をもつ」)
- 何をすればよいか考える
- 考えたナリワイがどういう価値をもつかを検証する
- テストを行いつつ、その価値が実現する証拠を集める
- とりあえずやってみる
- 参加した人の感想をきく
- 範囲をひろげていく
- 色んなひととナリワイをする
まずは支出を減らすことを考えよう。ケチになれと言っているわけではない。自分にまとわりついている余計な脂肪をそぎ落とすのだ。仕事帰りにコンビニで買うデザート、単なる付き合いの飲み代、読まない新聞、着ることのない服などなど。著者は「支出を減らすことで世の中の事業の矛盾に気づく感性が磨かれる」と言う。お金も浮くしナリワイを考えるヒントも浮かぶ。一石二鳥の策だ。
その次にナリワイのネタを見つける。方法は演繹的なものと帰納的なものの二つがある。やることは二つとも同じで、上記の三つをこなせばいい。
まずはやってみることが大事だ。ネットで調べればたくさんの情報が出てくるが、やらないことには始まらない。トライ&エラーを繰り返していけば、あなたのナリワイもきっと優れたものになる。
ブログ飯は無理。
この本を読んではっきり分かった。ブログ飯は無理だ。文章を書き、それを発信することはだれだってできるし世界中の人が競争相手になってしまう。GoogleアドセンスやAmazonアソシエイトもいつサービスが終了するかわからないし、ブログ主へのマージンが急に減少するかもしれない。ブログに頼らない他の収益化の道を探すことが必要だ。
もっと地に足をつけてお金を稼ごう。しかしそれは絶対にサラリーマンになれという意味ではない。自分が誰かに何かを与えて、その対価として何かを獲得できれば良い。まずは自分の好きなことからはじめてみよう。例えば、グラノーラ開発日記 (id:K-granola) さんは自作のグラノーラをネットショップで販売しているし、Ichiro Wada (id:yumejitsugen1) さんは古着を販売している。大彗星ショッカー (id:noabooon)さんはタロット占いなどで生計を立てている。
ぼくのナリワイ
読み終わって自分でもなにかナリワイを作りたくなった。ネットショップもやってみたいがいろいろと制約が厳しいようだ。arduinoのオリジナルキットでも販売できれば楽しそうだなー。分かりやすい説明書付きで。あとはコーヒーにあう羊羹を作って売りたい。ろくろを回してティーカップを作るのも面白そうだ。
お金も稼ぎたいし、充実した暮らしもしたいし、社会からも認められたい。このような感情を著者は「人間的な願望」と表現している。
問題は、外貨獲得という発想には、その「人間的な願望」が抜け落ちているとうことだ。人間的な願望を満足させる前に、外貨を獲得する、という難易度の高い目標を掲げても、うまくいくはずもないと思う。
逆に言えば、その人間的な願望を実現するようなナリワイを一個一個つくっていく、という面では、現代は無限の可能性がある時代でもある。
生活に組み込むように、収益を得て心身が充実するようなナリワイを作っていく。僕の長年の夢だった「遊びで食っていきたい」がナリワイによってついに叶うかもしれない。
うぉぉ!Say、うぉぉ!
(終)
- 作者: 伊藤洋志
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2012/07/02
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