常識を捨てよ!
知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫)
知的複眼思考法とは常識にとらわれず、多面的にものごとをとらえて自分の頭で考える思考法である。ようはロジカルシンキングと書けばいいのだがこの本が出版されたころは、そのような用語は存在しなかったのだろう。今回も例にならって以前に読んだ本をもう一度読むことにした。
読み進めていくうちに前回の書評に間違いがあることに気づいた。この本の構成のことだ。前は複眼的思考法を身につけるために、より良い読み方と書き方、そして問題の問い方を紹介していると述べた。しかしこれらは並列の存在ではなかった。はじめに基礎トレーニングとして読み方と書き方があり、そのあとに実践編として問題の問い方さらには問いの展開の仕方が書かれていたのだ。このようなところからもいかに再読が必要であるのかがわかる。自分が著者の考えを誤って解釈していたことを発見し、自分の考えを方向修正することができる。
改めて本書の構成を述べる。前書きで知的複眼思考法の定義と本書の構成を述べたあと、一章と二章では思考法の基礎編として批判的読書と批判的議論について書かれている。三章と四章は思考法の実践編である。三章では問いの立て方と展開のしかたについて、四章では問いをずらして展開することについてそれぞれ説明している。
本の内容を書き下してみると以下のようになる。
やはり自分で概要を書いたほうが著者の考えをより深く理解できる。
この本の魅力:わかりやすい例
ここで書評らしくこの本の魅力について僕なりに書いてみよう。なんといっても例題が分かりやすいことである。文中では複眼的思考法を身につける上での練習として、新聞や雑誌等からいくつか記事を抜粋し、書かれていることを鵜呑みにせず自分で考える方法をステップバイステップで教えている。記事の内容は幼稚園児の塾の利用が増加していることや、偏差値教育や女子大生の就職活動についてなどである。大学生に向けて書かれていることもあってか、僕が興味をもつテーマが多かった。いつもなら斜め読みしてしまう類の記事だが、著者の教えに従って読み進めていくとそれらの記事の真の姿が浮かんできてビリっと電撃が走ってしまった。
問題点:メリットは何なのか書いてない
しかしこの本の問題点として、知的複眼思考法を身につけたら何が良くなるのか、ということが挙げられる。それは自分の頭で考えたほうが何かよいことが起こりそうな気がするし、スマートな感じがする。しかし著者はメリットを文中で明記していないので本当のところどうなのかが全く分からない。残念だなぁと思ってしまった。
おわりに
竜頭蛇尾になってしまったけどこれで終わり。また何かあったら書き足そうかな。(そういうときは大体書き足さないのだけれど)