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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評】まずはそのふざけた「住宅ローン」という幻想を、ぶち殺す!/「モバイルハウス 三万円で家をつくる」

持ち運び可能な家を作ってしまう

http://instagram.com/p/eYhwKQhBOL/

モバイルハウス 三万円で家をつくる (集英社新書)

 昨今の技術革新によって、あらゆるものは小型化し持ち運びが可能になってきた。昔は大部屋まるごと使って行われた計算も、今や手のひらサイズのマイコンでできる。中でも電話は最たるもので、まさかここまで小さくなるとはベルさんも想定していなかっただろう。

 そうして2011年、一人の男が一件の家のモバイル化に成功した。総工費二万六千円の車輪付き住居、モバイルハウスである。
 
 この本は筆者、坂口恭平がモバイルハウスを作る過程と彼のその後の生活が書かれている。「つくってワクワク!」的なノリで家を建築する様はあのころ作った秘密基地を思い出す。

路上生活者の家からヒントを得る

 坂口恭平は大学の建築学科へ入学、勉学に励んだ。しかし、日本の建築物過多の現状にもかかわらず、方法論を変えない建築業界に疑問を抱いた。そんなある時、路上生活者(以下、ロビンソンさん)が建てた総工費0円の家に出会う。ソーラーパネルで自家発電し、都市からでた余剰物によって構成されてた家。三畳程度の大きさにも関わらず広く感じる。ロビンソンさん曰く、「私が今まで経験して来たアイデアが詰まっている」とのこと。

 彼の家にインスパイアされた坂口さんはロビンソンさんからのアドバイスを元に、家であって家に非ず、モバイルハウスをつくることを決意した。

家じゃないから違法じゃないもん!

 そもそも、なぜモバイルハウスを作るのか。秘密基地のような普通の家でもいいのではないか。答えは単純で、普通の家を建てるのは法的にいろいろやっかいだからだ。土地の種類によっては家を建てられないこともあるし、広さ、免許の有無などの制限がある。しかしモバイルハウスは移動可能なので、家ではなく車としてみなされる。

 モバイルハウスであれば、家ではあるが車輪が付いている。
 つまり、家でありながら車でもある。
 むしろ現行の法律では、車輪が付いていれば、土地と定着していないのでモバイルハウスは建築物とはみなされない。
 モバイルハウスはすこに住む僕にとっては家ではあるが、法律的には車なのである。

 車となればこれまでの制限から一気に解放される。好きに作っていいし、好きに置いていい。僕が昔作った秘密基地も可動式にすればよかったかな。

作っていこう!

 本書の大部分はモバイルハウスの建築の過程に割いている。ホームセンターで資材を買って試行錯誤しながら建築を進めていく。坂口さんが恵まれていた点は近くにスーパーアドバイザーがいたことだ。ロビンソンさんは見た目は路上生活者だが、実は造船、コンピュータ、農業など様々な経験と知識を持った「博学のエンジニア、科学者」だったのだ。どんな資材を買えばいいかや、加工方法などのアイデアを惜しげもなく坂口さんへ提供してくれた。その甲斐あって、モバイルハウスは無事に完成した。置く場所は近くの月極駐車場。車だからね。

 本文中には、建築風景が写真としてところどころに挿入されている。眺めていると秘密基地を作っているみたいでワクワクしてきた。
 

方丈記とモバイルハウス

 坂口さんも言及しているが、モバイルハウスという構想は平安時代のエッセイイスト鴨長明も持っていた。彼の著書「方丈記」は自作のプレハブ小屋で綴ったエッセイ、現代版自分語りスレである。僕は坂口さんと鴨長明が似ていると感じた。二人とも理系であり、モバイルハウスを建築し、建築の前後で災害を経験しているところだ。

 当時の京都は大火、竜巻、戦乱、飢饉、大地震と災害が立て続けに起こり、それはもう大変だったそうだ。災害から免れた鴨長明は住まいや生き方に対する考えをエッセイに書き記していく。その内容は坂口さんのモバイルハウスの構想に通づるところがある。もう一回読み直してみようかな。

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おわりに

 やっぱり何かハードを作った人というのはカッコイイ。僕も形あるものを作りたい。


 映画も公開されていた。

『モバイルハウスのつくりかた』予告編 - YouTube


 DVDも発売されているようなので興味のある人はどうぞ。
坂口恭平/モバイルハウスの作り方 【DVD】

 タイトルの元ネタ:
そげぶとは (ソゲブとは) [単語記事] - ニコニコ大百科