トンネルと抜けると、そこは戦場
青き支配者 (ハヤカワ文庫 SF(578)―宇宙英雄ローダン・シリーズ 104)
なんとか第一の殻を突破したローダン一行。グリーン階層と名付けられたそこには巨大な要塞都市がそびえたっていた。ボケーっとしていると、防衛側のカンガルーのような種族と、攻撃側のイヌイットっぽい種族が戦い始めた。「この戦いにも島の王たちの罠が仕掛けられているに違いない」と警戒をおこたらないローダンだったが、突然宇宙船クレストIIが動かなくなってしまう。墜落する宇宙船、彼らは弾丸の行き交う戦場へ不時着した。
今日はあっさりめで書く。
核反応が使えない!?大寒波襲来!島の王たちの罠
見出しはドラゴンボールのタイトルコールのように読んでほしい。突然宇宙船の動力源となる核反応が起こらなくなってしまう。グッキーの報告によると、これは防衛側のガルーらの念力によるものらしい。さらに困ったことに乗組員たちを大寒波が襲う。気温はみるみるうちに下がっていき零下五十度近くになる。
そこで搭載機のシフトだけでもガルーたちの影響下から逃れようと、みんなで自力で引っ張ることにした。極寒の環境の中、シフトにロープをとりつけて四百人で死に物狂いで動かす。このあたりの描写は読んでるだけで体力が削られる気がする。
艦長のレッドホースが修造ばりの熱さで奮闘する。
レッドホースはロープにとりくんだ。しだいに無感動状態におちいる。呼吸が苦しい。ブーツの底で小石がきしった。
ワナ ゲニ ソン ——そう思った。
インディアン語で酋長は無敵ということ。
ローダンの思考
ローダンのスゴいところはその知識量ではなく、思考能力にあると思う。彼はガルーとイヌイットの戦いについてどんな効果があるかを考えていた。確かにガルーの念力はすごい。しかしなんのためにイヌイットは存在しているのだろう、と。登場人物には全て役割があってイヌイットには他の役があるのではないか、ここまでする島の王は実は臆病な性格ではないのか。
自分たちに生命の危機が迫っているにもかかわらず、ここまで思考することができるのはローダンだけだ。さすが太陽系帝国の大執政官!
さいごに
この巻の終盤で、彼らが争う理由がわかる。
もう一巻ローダンシリーズの記事を書いて、やっと読み進めることができる。がんばろ。