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【書評】なぜなぜ、なぜと問えば世界が開く/「知的複眼思考法」

思い込み、常識、そんなもん捨てちゃえ!

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知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫)

 知的複眼思考法とは、常識や思い込みにとらわれず様々な視点から物事を考える思考法である。「思い込みを捨てろ」「自由な発想で」「もっと別の視点で考えろ」などと良く言われるが、実際のところ具体的な考え方はあまり示されていない。本書はそのような思考法について、読む、書く、問うという三点から考え方を示している。

 本書は1996年に刊行されたものに加筆して2002年に文庫本化したものだ。しかし内容は今日の社会でも十分活用できるものになっている。

問い方

 この本がとりあげているのは大まかに次の三つに分けられる。批判的読書術、論理的な文章作成術、そして問い方とその後の思考の展開法だ。全てを紹介したいところだが、この記事では僕が一番心に残った問い方の部分を説明する。批判的読書術に対しては偉大なる書評ブログ、スゴ本に記事がある。
「知的複眼思考法」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

 さて、問い方である。問い方とはある問題を考える際にどういった切り口から攻め込むかを決める重要なファクターだ。筆者は疑問を問いへ移行させる重要性を説いている。ぼんやりとした違和感とかちょっとかすった部分を言葉にして疑問へ移す。それが考えることへの出発点になるのだと言う。さらにその疑問を問いへ変えることが考えることにつながるのだと。

 疑問と問いとの決定的な違いは、疑問が感じるだけで終わる場合が多いのに対して、問いの場合には、自分でその答えを探し出そうという行動につながっていくという点にあります。

 じゃあどうやって問えばいいのか。筆者は「なぜ」を使えばいいとしている。ちょっとした疑問が「どうして〜」なのに対し「なぜ〜」と言い換えればいい。なるほど、そうしたら僕の足りない頭でも回り始める気がする。

具体的なこと

 本書はある問題をとりあげて複眼思考法の具体的な使い方も説明している。問題はいくつかあるが、この記事では「最近の大学就職はなぜ厳しいか」という問題に対する考え方を紹介する。それにしても大学生の就職難の問題はずいぶん昔からあったのだなぁ。

 筆者はこの問題に対して、いきなり「なぜならば……」と答えるのではなく、問いを使って問題を細切れにしていくことを提案している。文中では就職状況を男女別で分けている。そうすると女子の方が就職率が悪いということが調べられる。そこで、「なぜ女子は就職状況が悪いのか……」と問いを立てる。このように繰り返し問いを繰り返すことによって、より奥深い考察ができるようになるのだとか。

 よく、三つのなぜとか六つのなぜというワードを聞くけど、この言葉は間違ってないのかもしれない。何回も問いを繰り返すことで物事の本質が見えてくるし、新しい発見にも繋がる。「なんだ、当たり前じゃん」と思ったけど、実際やってみると面倒くて疲れる。考えるってカロリーを消費する。

さいごに

 以前、思考の整理学という本を紹介した。整理学の方はアイデアの生み出し方や管理の仕方が随筆のように書かれていて、パラパラと読めた。しかし知的複眼思考法はじっくり腰を据えて読んでいく必要があった。それだけ内容が充実していて頭を使ったということ。時間は掛かるかもしれないけど、ぜひ読んでほしい。

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