あと一年しかないな。
就活が一段落して、ふと顔を上げてみると卒業まであと半年しかないことに気が付いた。田園が広がる通学路をぼろい自転車できこきこ進みながら、研究室へ向う。さわやかではないジメっとした風が衣類のスキマから僕に入ってくる。
僕はこの大学が大好きだ。そして大学生生活が大好きだ。年間休日数365日、残業なし、昇給なし、可能性あり。そう、このキャンパスのあちらこちらに可能性が点在しているのだ。それを全部手に入れることはできないが、自分がそのプラスのエネルギーを全面に受けて生活しているのがたまらなく心地よい。
大学は何をしてもいい。勉強してもいいし、しなくてもいい。恋愛してもいいし、同棲してもいい。サークルに入ってもいいし、ネトゲしてひきこもってもいい。本を読んでも旅をしても絵をかいていても、学生証がある限りあなたは大学生。すばらしい。
僕が大学で一番好きな場所は生協だ。高校のころは購買なんてなかったから、学校に居ながら文房具や昼ご飯や文庫本を買えるこの空間が本当にゆめのようで素敵。本も大学生が好きそうなものばかり置いてくれるので、背表紙を読んでいくだけでアドレナリンがどばどば出てくる。血圧もやや上がる。価格も安い。
またサークル棟もお気に入りポイントだ。音楽系、体育会系、サブカル系が一つの建物にごっちゃになっていて、一種のカオスを生み出している。地下にあるため、年中一定の温度が維持されており、なにかの発酵食品を薄めた匂いで満たされている。話し相手も遊び道具もあるので、ここなら一日中いても苦にならない。
勉強も好きだ。特に力学。計算が好きなのではなく、機構の絵を描くのが好きなのだ。大学在籍中に、円柱、円錐、楕円体、バンパ、ばね、コイル、ダイオード、sinθ*e^xなどなどたくさんの絵を描いた。成績は良い方ではなかったが、自分の好きなことを好きなだけ勉強できる環境は本当にありがたい。
これから大学を受験する人へ伝えたい。就職実績とか世間体とかそんなこと考えずに、自分がやりたい勉強、入りたい学部を目指してほしい。これからの世の中は好きなことを好きなだけして生活できる人がどんどん出てくると思う。僕もそうなりたいし、みんなも是非なって欲しい。
好きなことを追求していって、ワクワクで心と体が満たされるときっと全部うまくいく。そんな気がする。