マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

社会経験のない大学生がカエサルから学んだ3つの仕事術

 Knight
Knight / Walt Stoneburner


 ローマ人の物語を読みました。カエサルの章もいよいよ後半。自国に喧嘩を売ろうとルビコン河を渡ったカエサル。ポンペイウスさんと戦うことになりました。しかし兵力の差は歴然。いったいどう立ち向かったのでしょうか。

橋がだめなら河を掘る

 

 連日濁流うず巻く川を眺める羽目になっていたカエサルは、この自然に抗して橋をかける苦労をつづけるよりも、この自然の勢いを利用することを考えつく。士気のあがっていた兵士たちは、最高司令官の命令一下、新たなる土木工事に着手した。
 それは運河を掘る作業だった。

 レリダでポンペイウス軍と戦闘をする際、カエサル軍は敵の補給路を断つため工事をおこなうことに。しかしセグレ川の増水により、カエサル軍の橋が流されてしまう。ポンペイウス軍の頑丈な橋はそのまま。ピンチ。ピンチだ。
 仕事でもこういうことがあるに違いない。トラブルが起こり、機械が故障してしまった。修理するか、新しく買い直すか、他から借りるか。解決方法はいくつかあるが、大切なのは物事の本質を見極めることだ。大学生が本質とかいう言葉を使うのは恐れ多いが。
 カエサルは新しい視点で問題を解決した。橋は関係ない。要は向こう岸に渡れればいいのだ。運河の支流を増やし水量を分散することを考えたのだ。これによりポンペイウス軍は撤退した。

自分を中心に考える

 

 <何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。だから、他の人々も、そうあって当然と思っている。>

 ガリア戦記とは違い、味方が敵になっていまった今回の内乱。カエサルは同胞の血を可能なかぎり流さず国家ローマの新秩序を樹立する、という目標を達成しようと試みる。これはかなり難しいことではないのか。周りからの圧力や世間体に負けず、自分の考えに忠実に生きることで体の中に一本の強い芯が生成し、カッコイイ大人になれる。そう思っている。

責任は自分にあると自覚する

 

 人間は、気落ちしているときにお前の責任ではないと言われると、ついほっとして、そうなんだ、おれの責任ではなかったのだ、と思ってしまうものである。こう思ってしまうと、再起に必要なエネルギーを自己生産することが困難になる。
 (中略)
 責任はお前たちにある、と明言することで、兵士たちが自分自身で再起するよう誘導したのだと思う。

 ドゥラキウム攻防戦で敗北を期したカエサル軍。負けたことは確かだが、全戦力の5%ほどしか失われておらず、まだまだ挽回できる余地があった。しかしカエサルはここで「負けたのはお前たちの責任だ」と言ったのだ。
 仕事をする上で、叱ってくれる存在というのはありがたいものだ。一番怖いのは自分がミスをしても、「そうか」で済まされてしまうこと。ミスをした実感がわかず、あまり反省せずにまた同じ過ちを繰り返してしまうからだ。
 叱られなくても「俺が悪かったんだ」と思うようにすると、反省がしやすく次からはミスをしなくなるはずだ。

大事なところはベテランに任せる

 

Uncle CliffUncle Cliff / Shiny Things

 ベテランを選んだ理由は、彼らこそ歩兵でいながら、猛攻をかけてくること必死の敵の七千騎の前に立ちはだかる役割を課されていたからである。そのためには、騎兵の前に立ちはだかって微動だにしない、度胸が求められていた。若年兵には体力や闘志があっても、経験にもどづいた豪胆さとなると、ここ一戦というときには心配だったのである。

 ついにファルサルスで会戦が始まる。兵力はポンペイウス軍が五万四千人に対し、カエサル軍は二万三千人しかなく、さらに騎兵の数もポンペイウス軍が勝っていた。この多数の騎兵を使って敵陣を切りくずすという定石を考えるポンペイウス。カエサルはそれを見越して騎兵を無力化する作戦を立てた。それが人の盾作戦だ。自陣の騎兵後ろに歩兵を隠し、相手の騎兵が来たときに騎兵を動かせば、突如歩兵が出現する。相手の馬が驚き陣形が崩れたとろで、騎兵と歩兵で挟み撃ちにする作戦だ。
 言うのは簡単だが突進してくる馬の前に立ちはだかるには相当な度胸がいる。カエサルはその役目をベテラン勢に託したのだ。仕事の場合も同じだ。難しい仕事のときはフォローをベテランさんに頼むのもいいと思う。

見たい、知りたい、やってみたい

 カエサルは、『内乱記』の中で、「人間は見たいと欲する現実しかみない」と書いている。

 カエサルはいい意味でこの言葉を書いてなかったかもしれない。しかし僕はこれを「人間はしたい、やってみたいと思えば、その現実が見える」と解釈した。こんな仕事をしてみたい、アイデアを形にしたい。無理だとしても考えるのは自由だ。考えたとき初めて見えてくるものもあるし、アドバイスがもらえるはずである。


おわりに

 River Guid
River Guid / halseike

 カエサルの章はあと2巻ある。この内乱がどうなるのかワクワクしてきた。

 読み終わり次第また書評を書くことにする。