雑誌「WIRED Vol.20」を読んでいる。現在進行形であるのは、この冊子があまりにも分厚いため一息で読み切れないためだ。付録はなく全260ページで、文字ばかり並んでいる。今回は「特別保存版」のためいつもよりボリュームが多い。価格は1200円。ハードカバーの文芸書よりは少し安い。内容はAIと都市の二大特集である。私はAIのほうにしか興味がないので、この記事もそちらしか書かない。書くことは限られているし、限られるべきだ。
AIとはArtificial Intelligence、つまり人工知能のことである。それは人間のような知的な作業を行う。こいつを機械に埋め込めば我々が想像するロボットになる。もし、彼らが我々の作業を肩代わりしてくれるならこれほど素晴らしいことはない。もう働かなくて済む。AIのはじまりは意外と古く、1950年代に提唱された。しかし実際のところなんでもできるAIは開発が難しく、一般社会に広く応用できるものは現れなかった。AI旋風が吹き荒れては鎮火するという流れが二たび起こった。そういうわけで、今回のAIブームは三度目になる。
AIがいったいどのような計算をしているのか、私は知らない。けれども強化学習という言葉は知っている。それはただ単に人間の指令のみを実行する方法ではなく、環境から情報を取得し、自身のパラメータをより良いものに再設定する方法である。これは単純作業をこなすうちにその速度と正確性が上がっていくような仕組みに等しい。新人がパートのおばちゃんレベルに成長するように、機械もおばちゃんにレベルアップする。この強化学習はAIたちの学び方、いわゆる機械学習のひとつにすぎない。WIREDの中にはニューラルネットワークだとか、ディープラーニングだとかいろいろ書いてあった。なるほど、分からない。しかし、近年の科学技術の向上によって機械たちの学習の速度と質が上がって来ていることは確かだ。そして扱える範囲も数字情報に限らない。画像や音声、言葉にも対応できるようになった。
人工知能のスタートアップである、ディープマインドの特集記事が面白かった。この会社では汎用人工知能をつくろうとしている。人間のようになんでもできちゃう知能のことだ。英語だとAGI(Artificial General Intelligence)。記事ではAGIの中身のことはあまり書かれていなかったが、カッコ良さげな色合いの写真がカッコ良さげである。ヒゲをはやした男性がなにかを考え込んでいる写真である。記事を読むと、AGIが完成するのはまだまだ先のようだ。あらゆる考え方を導入しなくちゃいけないし、そもそも考えるとはなにかを考えなくてはいけない。それでもAGIというのは楽しげな響きだ。
本書の中にはAIが浸透すると、AIは見えなくなるということが書かれていた。世界のあらゆるものに頭脳が搭載されたら、彼らは彼らで勝手に情報をやりとりし、私たちの意識下でうごめく。まるで神が遍在するようである。いつかソフトだけでなく、ハード的にもなにかの技術革新が起きそうだ。そうなったら世界はきっとシンプルでシームレスなものになるだろう。なんだか味気ない。
未来は一足とびにやってこない。日曜が終わればいつもの月曜がやってくる。しかし、この世界が少しずつ良くなっていることは確かであり、私もそう感じている。いろいろと問題はあるだろうけれど、何かを生み出し続ける限り私たちは前進する。
楽しそう。
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