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【書評】仲間も小さくなっちった/「宇宙英雄ローダンシリーズ<108> 戦慄の最終ステーション」

歴史は繰り返す

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戦慄の最終ステーション (ハヤカワ文庫 SF (601)―宇宙英雄ローダン・シリーズ 108)


 太陽系帝国は八千もの艦隊によりツイン星系を占領した。そしてクレストIIを救うためアンドロテストIIが惑星ホラーへと派遣された。しかしポテンシャル凝縮装置の罠にかかってしまい、クレストII同様千分の一サイズに縮小されてしまった!ローダンたちになすすべはないのか!一体どうなる!?

舌打ちとくしゃみが上機嫌の証拠

 アンドロテストIIの乗組員の中でも異色な存在としてホークとオクリルが挙げられる。彼らは気候の変動が超激しいオクストーン星出身である。ホークは環境適応人間でありそしてオクリルは超赤外線探知能力を持つばかでかいカエルだ。このカエルを飼いならすことに成功したのはホークだけで彼はオクリルの知覚に直接アクセスできる。その超赤外線を使って過去の出来事を復元できる。まるで名探偵。オクリルはシャーロックというあだ名も持っている。ホークとオクリルが出てきたのはこの巻が初めてではないが今回の話によって彼らの魅力が十二分に伝わると思う。

 オクリルが舌打ちやくしゃみをするのは機嫌がいい証拠だ。ホークの命令を忠実に実行できたときや熱い場所にいるとくしゃみをする。挿絵を見る限り気持ちわるい生物なのだがなんだかかわいく思えてくるふしぎ。

唯一の望みはグリーン階層に取り残されたシフト

 さて救助隊もろともちっさくなってしまったローダンたちはどうするのか。アンドロテストIIIが救出の第二陣として出動する予定なのだがこちらから警告をしないと彼らも同様に罠にかかってしまう。そこで彼らはホラーの内部に二台のシフトを置き去りにしたことを思い出す。そこにあるハイパーカムを使って仲間たちにメッセージを送るのだ。ホラーの内部はポテンシャル縮小装置の範囲外でシフトもそのままの大きさだ。ハイパーカムから送られる電波も通常の大きさに違いない。そんなわけで体長1.7ミリの男たちは飛行機に乗り込み再びホラーの内部へ行きシフトを取り戻すことにした。

 疑問に思ったのが大きさは千分の一になったのになぜ飛行機の速度は変わらないままなのか。いやそれも遅くなってしまったら物語が進まなくなるのだけれどね。

絶望的な状況でも集団を支配する要因

 巻の終盤で飢餓によって息絶えそうな四人の軍人が出てくる。彼らは食糧を探しているのだがそう簡単に見つからない。攻め落とした町はすでに住民が食糧や住居を燃やしてしまって町の価値をなくしていたのだ。なんかこんな話ローマ人の物語で読んだな。まあいいや。軍人らのリーダーは軍よる規律を力によって保っていた。彼だけが銃を持っていたのだ。睡眠時も仲間から奪われないようにあらゆる策を使っている。力。

 しかしそのリーダーは戦闘によって死亡してしまう。さて次はリーダーはだれか。チームで唯一飛行機を操縦できる人物であった。彼は他人より優れた能力によって集団を支配していた。
 
 絶望的な状況でも集団を支配する要因は権力やルールではなく力と能力だったのだ。性格や人望というものもあるだろうがそれはまた別の話。

おわりに

 結局ローダンたちはどうなったかって?それは実際に書店で確かめてみてね。絶版中なのでブックオフかamazonでしか手に入らないけど……。


 ローダンシリーズは月に二冊のペースで発行しているらしい。毎回思うけど僕が追いつくのはいつだろう。