ナンパな松岡修造
テレビに関わる仕事は僕には絶対向いてないと思う。なにもないところから企画を練り、会ったこともない人とたくさん話し合って、瞬時にあれこれ考えて気配りをする。短距離走のようなものだ。そういう面から観ると、加地さんはテレビ製作に向いている人なんだと思う。そして軟派な外見とは裏腹に番組制作に対して熱い情熱を持っているなと感じた。
テレビに必要なものって何だろう。たくらむって何だろう。
嫌な仕事をしたことがない
実は、僕自身は「嫌な仕事」をやったことがありません。ただし、それは好きな仕事ばかり回してもらえていたからではありません。(中略)
他にも、任された仕事に興味をもっていくうちに、どんどん面白くなってしまうから、嫌な仕事にはならなかったのです。
このまえ紹介した山口さんの「そろそろ会社を辞めようかな…」には、自分が1つやりたいことをするには、10やりたくないことをしなくちゃいけないと書いてあった。加地さんが書いている「嫌な仕事」とは少し意味合いが違うと思うけど、新鮮だった。
山口さんは10の嫌なことを1のやりたいことでカバーするという書き方だった。しかし加地さんはその嫌なことが、なにもないという。僕は他人とコミュニケーションをとるのが苦手だから、宴会の幹事やスピーチをするのは出来ることならやりたくないし、電話番もストレスが溜まりそうだ。加地さんはリア充だったのかな。何でもひょいひょいと、そつなくこなせそうだ。
勝ち続けるために負けておく
逆説をつかうと名言っぽくなります。急がば回れ、攻撃は最大の防御。勝つために負ける。テレビの企画もそうらしい。毎回、人気のある企画、視聴率のとれる企画を出し続けるとあるところで飽きられるとすぐにだめになってしまう。そんなときは負けちゃっても良いさと、新しいけど受けるかどうか微妙なネタを出すのだと言う。
こんなふうに、1回ごとの結果を求めすぎないで、飽きられないためにどうするか、という点を常に企んでいます。いくらおいしい焼き肉であっても、毎日食べたら飽きてしまいます。視聴率の「勝ち」にこだわりすぎると、ついつい毎日焼き肉を出し続けてしまって、飽きられてしまうのです。
「勝ち越し」を続けるためには、一定の「負け」が必要なのです。
弓道も似たところがある。僕は高校のころ、弓道部に所属していた。弓を引くのがとても楽しくて最高の高校生活を過ごしていた気がする。そして引退する時に、後輩に言った言葉がある。「上手い時に練習しろ、下手な時はだれだって練習するから」弓道は調子の浮き沈みが激しいスポーツだ。中らないときは本当にあたらないし、中るときはどうやっても中る。大切なのは中る時におごらず、しっかりと練習すること。そうすれば体も心も強くなる。
おわりに
当たり前の内容がたくさん書いてあるけど、改めて加地さんのモチベーションの高さを知った。やっぱり好きなことを仕事にするのが一番幸せなんだなと思う。
(27分28秒4)