マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評/感想】犯人になりうる探偵/「GOTH 僕の章」

犯人を捕まえないミステリ

 あしたからおせちを作るバイトをするため、ブログを書くことが難しいかもしれない。しかしいろんなものを削ぎ落とせば時間は作れるだろうとポジティブに考えて今日は書評を書く。

 GOTHの主人公は少しおかしなところがある。学生特有のあなたとは違うんです感は当然持っているがそれが普通の人より強めに出ている。彼が直接口にするのではなく文面で匂わせるのが通なところだ。特筆すべきは彼が加害者になりうる可能性を持った探偵であることだ。手首を切り落とす快楽殺人犯や生き埋めに喜びを見出す人に同調する。一歩間違えれば彼が犯人になってしまいそうだ。しかし彼は手を汚さない。
 彼を人間のラインに押しとどめているのは何なのか。女か孤独か優越感か。きっとどれでもなくて僅かながら残る良心なのだろう。本気で人を殺そうなんて思ってない。そう願いたい。


 作品を読むうちに作者の乙一さんにも興味が湧いた。いつか小説家になってみたい。そして印税で好き勝手暮らしたい。いいなあ。


GOTH 僕の章 (角川文庫)

GOTH 僕の章 (角川文庫)