マトリョーシカ的日常

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楽し層(そう)を積み重ねる/WIRED Vol.27 感想

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 文章が書けない時はどうするか。文章を書くしかない。学生の頃に、よくジャグリングをしていて、ひたすらボールを投げていた。何も考えなかった。ただ投げた。難しい技を練習する時も「どうすればできるようになるのか」とかそんなことは考えなかった。成功するコツは成功するまで投げることである。きっと文章もそういうものだ。書かなければそれは書かれない。

 しばらく前にWIREDの定期購読を申し込んだ。あの雑誌は悪いものではなく、文章がたくさんあり、おしゃれで愉快なため定期購読は悪く無い。今回は定期購読を忘れた頃にVol27が届いた。テーマは「サイエンスのゆくえ」。科学のこれからについて論じていた。科学と聞くと緻密な計算から一つの答えを導くようなイメージをもつ。しかしその潮流は変化しているらしい。真実が複数あることを許容する動きだ。東京大学教養学部の教授である村上陽一郎は、自身のスタンスを「科学にユニークソリューションを求めようとしない」と設定している。答えは一つじゃ無いよ!ということだ。

いつも道を選ぶときに「ベター」な道を選ぶという感覚をもつべきで、何が「ベスト」かは考えてはいけない。この姿勢が、個人的にはいちばん大切だなと考えています。
「WIRED Vol.27」 p36

 どこかで聞いた言葉だと思ったら、いつか読んだ「そろそろ会社辞めようかな〜(略)」にあったものだ。会社から独立したらひとつのことに集中してベストを尽くすという姿勢はあまりよくないそうだ。ベストを尽くそうとすると事業全体が見えなくなり、利益が得られない、ということか。

 ベターを積み重ねるということは、常に一歩引いた姿勢で少しずつ歩を進めるということです。
「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける方法をシェアしようじゃないか」p163


 そう考えると、会社員という働き方は昔ながらの科学信仰のアナロジーになり得るのではないか。方針を掲げ、それに社員一丸となって取り組み成果をあげる。今ある公理からひとつの真実を証明する。後者はヒルベルトらの活動が有名だが、それも結局ゲーテルの不完全性定理によって崩されてしまった。そのうち会社員の未来も消え去ってしまうのかもしれない。

 私の未来がどうなるのかはよく分からないけど、楽しそうなベターを積み重ねたい。