マトリョーシカ的日常

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【書評/感想】電子書籍と星新一は相性がよい/きまぐれロボット

四コマ漫画のよう

クレジットカード不要!Amazonギフト券でKindle本を購入してみた - ぐるりみち。

 最近カドカワがKindleのセールをやっているようなので、僕もなにか買うことにした。電子書籍の端末は持っていないがiPhoneがあれば本は買える。しかし手を使わない読書というのは頭が働かないので易しいジャンルを選ぶことにした。星新一さんのショートショートだ。

 星新一さんはショートショートと呼ばれる非常に短い小説を数多く書き残した。全部で千編以上のお話はどれもシンプルな言葉のみで構成されており、時を経てもそのメッセージは朽ちない。新聞の四コマ漫画を読んでいるように最後にくすりと笑ったりしんみりしたり、なるほどと感心する。

 彼の作品は理系的なものが多く、ロボットや宇宙がよく登場する。しかしそれらは完成されたものではなく、どこか抜けていて人間的だ。例えばタイトルにもなっているきまぐれロボットは決まりきった動作をせずに、時々暴走したり不具合が起きたりする。使用者は製作者を責めるが彼はこう返す。

もちろん、故障も起こさず狂いもしないロボットも作れます。だけど、それと一緒に一ヶ月も暮らすと、運動不足でふと過ぎたり、頭がすっかりぼけたりします。それでは困るでしょう。ですから、人間にとってはこのほうがはるかにいいのです。

 ロボットが人間的というより人間味のあふれる人間がロボットをつくっているということなのだろう。

未来予知

 また話の内容では現代で実用化されている技術がある。ロボットが使用者のそばにずっといて夜にその日の記録を書いてくれる話はまさにEvernoteなどのライフログそのものである。小鳥に歌を歌わせるのもマイコンなどを使えば作れそうだ。

 星新一さんは予知しているかのように近未来のことを書く。しかしそれは予知というより期待の方が大きい。こうなったらいいな、面白いなと思うものをショートショートという形式にして生み出してきったのではないか。

星新一と電子書籍

 電子書籍は読みづらい。タブレット端末だと使い勝手が変わるかもしれないが、やはりページをあちこち移動させながら読まないとわからない難しい本もあるし、線をぐちゃぐちゃに引きたくなる詩集もある。
頭を使いたい読書にはやはり紙の本が向いている。

 一方、ショートショートは頭を使う必要がほとんどないので電子書籍と相性が良い。移動中や休憩中のちょっとしたスキマにさっと一話読める。百円で良質な暇つぶしができるのでマンガの代わりと思って読んでみてほしい。

きまぐれロボット (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-10-17)
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