マトリョーシカ的日常

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【書評/感想】研究の価値や効果は選択する材料如何である/「原典による生命科学入門 」

生物の勉強をしよう

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原典による生命科学入門 (ちくま学芸文庫)
 シリーズ化しつつある体系的にざっくり学べる教養本紹介のコーナー。哲学、芸術、数学、歴史に化学といろいろやってきたが今日は生物。本書は医学生物学における歴史的な名著を十冊をピックアップし簡単な説明とともに原典を抜粋して載せている。アリストテレスからクック、四大元素から二重螺旋構造まですさまじい速さで生物学の歴史を駆け抜けることができてしまうすぐれものだ。

 読んでおいて損はない。

なんとなくわかってきたこと

 どうでもいいことから書き始めるが様々なジャンルの教養書をナナメ読みしてきて僕の頭の中に歴史のざっくりとした流れが出来た。四大文明、ギリシャすごい、ローマスゴい、スーパーキリストタイム、ルネサンス、何かしらの革命、戦争。こんな感じだ。紀元前の学問は今程分化されておらず、何かを考える事はすぐに哲学になった。学者イコール哲学者のようなものだ。だから数学にしろ医学にしろアリストテレスの名前が出てくるのは驚く事じゃないのかもしれない。

この本の読みどころ

 この本のよみどころはなんといってもダーウィン、といいたい所だが僕はメンデルを推す。あれだエンドウをしこしこ栽培して遺伝の研究をした人だ。彼は幸運だったのかエンドウ豆は遺伝の研究をすることにとても適していた。むやみやたらに近くのやつら雑種をつくらないので安定した実験結果が得られるのだ。
 メンデルが優性遺伝劣性遺伝の法則を発見したとき師匠であるネーゲリさんにも報告したらしい。「こんな法則を発見しましたよ! 先生!」しかしネーゲリさんの対応は冷たいものだった。なぜなら彼も遺伝の研究をしていたのだがうまく結果が出てこなかったからだ。これは彼の研究材料のミヤマコウゾリナ属植物のせいでもある。

 しかしネーゲリは運が悪かった。ミヤマコウゾリナはアポミキシス現象をもつ。つまり花粉が着かなくても、減数分裂をしないでできた胚嚢母細胞は、そのまま発達して胚嚢を作り、胚を作ることがある。いわば有性生殖のみせかけをもった無性生殖をする。

 メンデルがエンドウを選んだのは偶然だったのかはたまた理由があったのかは僕はわからない。しかし選択する材料によって研究の速度がまったく異なるというのは教訓になる話だった。ざんねんネーゲリさん。

ショウジョウバエは神がつくった動物

 時代は進化から遺伝へ流れていく。モーガンは遺伝には交叉だけではなく突然変異が関係していることをショウジョウバエを使った実験で証明した。ショウジョウバエのすごいところは幼虫の唾液腺に染色体地図がでかでかとプリントされているところだ。数ある生物の中からよくショウジョウバエを選んだものだ。

 ショウジョウバエは、モーガンのために神のつくった動物と言われることも頷けよう。

 まさしくその通り。

おわりに

 以前よく行ってたウェブサイトがある。マメッコとかいうサイトでいろんなゲームを公開していた。その中でもお気に入りが遺伝型アルゴリズムの要素があるシューティングゲームだった。

マメッコホームページ

 たくさんある自分の機体から交叉、突然変異を繰り返してどんどん強くしていく。大学に入って遺伝型アルゴリズムを学んだとき「あの人はこれを理解して作っていたのか」と感心した。僕もいつかなにかを作ってみたい。そう思ってもう二十数年。結局何も作れないまま終わりそうでもある。仕方がないのかな。

 風邪は快方に向かっています。当たり前か。自己治癒力に感謝。