マトリョーシカ的日常

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【書評/感想】考える楽しみを増大させてくれる本/「いかにして問題をとくか」

かわらない価値

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いかにして問題をとくか

 先日本棚破壊リストから本を頂いた。あの欲しいものリストには僕が興味のある本しか置いていないのでどれが来ても嬉しいのだが一発目にしてまさかこの本がくるとは思わなかった。誰だか知らないけどありがとうございます。とても嬉しい。

「いかにして問題をとくか」は半世紀前に出版された本なのだが内容に普遍性を持ちだれがいつどのように扱ったとしても適用できる手段が書かれている。しかし勘違いしないで欲しいのは紹介された手法によって実生活で起こる問題が瞬時に解決できるというわけではないということだ。僕らが生きている世界は複雑で乱雑であいまいなものだから数学的方法にばしっと当てはまることはない。

 それでもこの本には価値がある。数学を学ぶことで論理的思考能力がつくのと同様に。

本の読み方

 この本を読み進める上で大切なのは全部を読まないことだ。本書は四部構成でありどれもが巻頭と巻末に記載されている、問題をとく上での大切なリストを中心に話が進められている。リスト自体は簡潔で分かりやすいのだが文中ではそのリストを様々な角度で言及している。特に第三部は「〜の参照」とか「〜の項を読め」などと読者をページ間シャトルランをくたびれるまでさせる始末。真面目に全部読んでいたら頭がついていけず消化不良を起こしてしまう。

 そういう理由で僕がおすすめしたい読み方は一部と二部は読み通し、三部は「決定問題と証明問題(p108)」「近代発見学(p125)」を順番に読み言及されている欄に目を通したら四部へと移ることだ。四部は数学的な練習問題とそのヒントと解答が書かれている。この問題を解きながら三部をちょっとずつ読んでいくと頭に入ると思う。

決定問題と証明問題

 一口に問題といってもいろいろあると思うが著者はここでは決定問題と証明問題について述べている。決定問題は与えられた要素と条件をもとに未知のものを求める問題である。底辺がaで高さがhの三角形の面積Sはいくつかなどの問題がそれにあてはまる。証明問題はある命題が正しいか否かを答える問題であって仮説と終結によって構成されている。仮説と終結の間を矛盾なく結ぶことができれば問題が正しいと証明できる。大切なのは巻頭巻末のリストは決定問題を対象にしたもので本書も決定問題を中心に話が展開されていくことだ。というわけでさっさと本を読み進めたい人は決定問題の箇所のみ拾っていけば良い。

 決定問題についてもう少し詳しく書いていこう。これは未知のもの、データ(与えられているもの)、条件の三要素で構成されている。問題を解く流れはまず問題をよく検証してそれが問題たりえるかを調べること、次に問題を分かりやすいものに変形させること、または似ている問題を探すこと、そして問題を解いた後は結果を振り返り他のものへ応用できるかを考える、という流れになっている。それぞれに様々な方法が本文中で言及されていてややこしいが大まかな流れは以上だ。 

おわりに

 僕は頭のなかに考えごとやパズルやなぞなぞがあると楽しい気分になる人だ。CMでやっていた「1,1,5,8で10をつくれ!」という問題を頭の中で必死に解いてみたり、以前はtopcoderの問題に対するプログラムをうんうんうなりながら考えていたりもした。なにか考えていると脳みその中がじっと熱くなってどこかの回転数が速くなっていく感覚になる。しかしそれは気持ち悪くなく心地よい熱さなのだ。暑がりな僕はサウナに入るひとの気持ちをよく理解できないでいるのだけれど、サウナの中でもこのような気分になるのかもしれないと思うと彼らの行動にもうなずける。

 今まで問題がだされたら闇雲に解いてきたけどこの本のようにパターンに落とし込むのも大切だと思った。思考ルーチンをベルトコンベアにのせてうぃんうぃん動かせばカロリー消費も減るしきっと解答へ早くたどり着くに違いない。


 最後にこの本を送ってくれた名前も知らないだれかへ感謝して記事を締める。ありがとうございます。