秋の夜長は読書とブログ
マヤ文明と聞くと、2012年の預言とかオーパーツとか宇宙人説など、神秘的なイメージを抱く人も多いと思う。しかし最近の研究により、マヤ文明はいたって普通の文明であり、四大文明と肩を並べる一次文明のひとつと数えられることが分かった。著者である青山さんはマヤ文明ひとすじ二十五年の"マヤマニア"であり、十数万点の石器を調査した経験をもつ。本書はマヤ文明の歴史とともに、彼の熱帯雨林での遺跡調査(探検?冒険?)の詳細が分かったりして読み物としても面白い。
鉄器は使わない、小規模で多様性に満ちた民
僕が一番驚いたのはマヤ文明に生きた人たちが鉄器を使わなかったと知ったことだ。彼らは石器を長年利用して来た。石器は鉄器に劣るものという固定観念があるかもしれないが、全くそんなことはないらしい。筆者曰くマヤ文明は「究極の石器文明」とのこと。
大型の家畜がいなかったので荷車やすきは発達せず、そのため鉄器も実用化されなかった。また、山やジャングルばかりの環境だったので四大文明のような大量生産、大量消費!大型灌漑施設などは作られなかった。
マヤと呼ばれる地域は日本と同じくらいの面積を持つので一人の人が支配することが難しかった。中央集権型というより分散型で、ぽつぽつとコミュニティが点在していた。
田舎でのんびり狩り暮らし。僕の抱いたマヤのイメージだ。
読み進めていくうちに、「日本と似てるな」と思う部分もあった。ひとつはマヤ人は多神教であるということ。太陽、月、大地、山、トウモロコシ、ジャガーなどあらゆるものが崇拝されていた。また、これは本の挿絵にあるのだが、月の女神がウサギを抱いている点。
古典期のマヤ人は、日本人と同様に月にウサギを想像したのだ。
月の模様は国によって見え方が違うらしく、蟹だったり美女の横顔だったりする。マヤのあたりでは日本と同じように見えたのだろう。しかし、地球の裏側で同じことを考えていた人がいるとは、当時の日本人もびっくりである。
文字がかわいい
あと印象的だったのは文字がかわいいこと。マヤ人が書く文字は、文字というより絵に近いかもしれない。ひとつの文字に対して人の顔のようなものを石などに彫るのだ。相当時間がかかったらしい。そしてその顔がかわいい。ちかごろ話題のゆるキャラや、ハローキティを思い起こす。
マヤ人の文字は現在進行形で研究が続けられている。もっと原始的な文字がある可能性があるのだ。確かにこの文字は完成されすぎている。
↑かわいい。
奇跡の作物
メキシコ原産の野菜と聞くと、多くの作物をあげることができる。中でもトウモロコシは奇跡の作物と呼ばれている。ヨーロッパ人がメキシコに渡ったころ、小麦が種一粒で四〜七粒を生産するのに対し、トウモロコシは一粒で一〇〇〜二〇〇粒生産されたのだという。栄養は豊富で世話が簡単。このトウモロコシの発見により西洋人の文明の進化スピードは加速した。
本書はマヤ人の農民の暮らしについてもページを割いており、当時の彼らの暮らしぶりがよく分かる。読んでみると、マヤ人も不思議な人ではなく、いたって普通の人なのだと痛感する。僕らはひどい先入観も持っていたものだ。
マヤ暦と2012年の予言について
さて、マヤ暦と予言のことについて触れたい。世間で話題になった2012年人類滅亡説だが、これはマヤ人が使用していた長期暦が2012年で終わることが理由とされていた。本書に詳しく書かれていたので読んでいく。
マヤ暦の長期暦の単位は、一日を表すキン、二〇日のウィナル、十八ウィナルの三六〇日で約一年のトゥン、二〇トゥンの七二〇〇日で約二〇年のカトゥン、二〇カトゥンの一四万四〇〇〇日で約四〇〇年のバクトゥンである。
問題となっているのは、キリグア遺跡の石碑に彫ってある暦だ。これは約十三バクトゥンを一周期として彫られていた。十三バクトゥンは約五千二百年。一般にマヤ暦の暦元(グレゴリウス暦における西暦0年)は紀元前三一一四年八月一一日という説が有力らしいので、その一周期後が二〇一二年にあたるというわけだ。
しかし、石碑には人類が滅びるなんて書いていないという。さらに最近の研究によって、このバクトゥンの上に少なくとも十九の暦の単位があることが分かった。マヤ人は二〇進法を使っていたので、20の十九乗……途方もなく多い。
人類は滅びないのである。
おわりに
僕がトルティーヤという単語を初めて目にしたのはFFXIというオンラインゲームの中だった。調理レシピの中で簡単なもので、スキルの少ない僕でも作れた。改めて考えると、僕がプレイしていたウィンダス連邦は南米の雰囲気があったなあ。
もし沢木耕太郎さんが旅の目的地をロンドンではなく、グアテマラにしていたら、僕はもう少し早く南米に興味をもったはず。どうでも良い話だけど。
あぁ、南米に行きたい。
ウィンダスってこんなところ。↓
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