マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

TCP/IPの海を潜っていく

 いつのまにか月は流れて二月になっていた。私が手の中に収めている言葉たちはちりぢりになっていて、コードとして大気を漂っている。最近はVue.jsやJavaScriptの教材を書いていて、それがいくらかおもしろいかんじになっている。

 やっていくと教材作成の流れがわかってきた。はじめにつくりたいもののコードをガガっと書く。そしてそれから、構築する内容を細切れにしてつたえる。相手の理解度を想定し、知っていることは省き、知らないことは詳細に書く。説明するとなぜか自分の理解度が増す。そんな日もある。

 さいきんの仕事は機械図面をかきなぐりながらTCP/IPの海を潜っている。以前はバラし(かいた組立図から部品図に書き起こすこと)を自分でやっていたが、後輩に任せることにした。このくらいのボリュームなら大丈夫だろうと思っている。実際そうだった。素晴らしい。そうして私は通信ばかりやっている。

 異なるメーカーが出している二つのデバイスの通信を構成しようとやっきになっている。単純にケーブルをつなげるだけではだめだった。なぜ、なぜ、と繰り返すうちに、この世界の通信のあらましを垣間見ることになった。知っていると思うが、人類は通信を階層構造で切り分けていた。TCP/IPの区分では4つに別れている。私は装置のマニュアルに書かれている見知らぬ言葉を抜き出し、それらを階層構造のどこに位置するかをメモに書き留めていった。

 たとえばイーサーネットは最下層に位置する。01の信号をもっとわかりやすく意味づけしている。Ethernet/IPとイーサーネットは別物らしい。なんだそりゃ。IPアドレスやサブネットマスク、ゲートウェイは二番目の階層だ。windowsの黒い画面にいろいろ叩いて、それらのアドレスを理解したり、彼らがどこからきてどこへ向かうのかを学んでいた。わからん。TCP/UDPはその上。でもこの二つの装置はModbusやMCプロトコルというよくわからないプロトコルで動くらしい。余計わからん。

 IoTモジュールからSIMを通してなにやら意味不明な言葉が送られてきた。でも、いまはまだ言葉を理解する段階ではない。この言葉を定期的にあげて欲しいのだ。本当に彼らは通信ができているのか、お互いがお互いを理解し合えているのか。

 いや、理解など到底できるものではないのだ。自身の理解すら難しい。だからプロトコルがある。決まり事があるから理解していなくてもやっていける。「相手を尊重する」「理解する」だなんて、そんな軽く扱ってはいけない。だれも相手を知ることはできないし、私も私を知ることはできない。


Photo by Daniel Seßler on Unsplash