年末に機械設計の本を買った。のぼゆ(id:noboyu)さんのブログでよく紹介されている、「ついてきなぁ!」シリーズのものだ。設計書に関するあれこれが書かれていた。会社に入社してもう四年。図面を引いたり、強度計算はできるようにはなったけど、設計の流れというのがいまひとつ掴めないでいた。「このままじゃ、だめだよなぁ」そう思って購入した。
「出すのは図面とトラブルだけ」(中略)これでは設計ではありません。造形(モデリング)です。
本は、昨今の日本企業に対する批判からはじまっていた。3DCADが導入された頃から図面の書くことに時間が多く割かれるようになり、本来の設計ができなくなった。とのこと。確かに、3DCADは複雑な形状の部品の干渉チェックができるなどの利点があるが、図面を書くのに2Dとは比較にならないほど時間がかかる。
そういえば、私の勤めている会社は設計書を書くという文化がない。各々が経験を頼りに図面をごりごり引いている。しかし、うちには3DCADはないぞ!どういうあれだ。おそらく会社の規模が小さいので個人のノウハウだけでうまくいっていたのだろう。このままではまずい。社内に文化を広めるのは難しいが、せめて自分だけでも設計書を書けるようになりたい。
この本には設計の正しいフローが記載されていた。使用目的の明確化、設計思想とその優先順位、技術形式の選択……と11のステップを歩む必要があるようだ。しかし、昨今はそれらを6ステップもスキップしている。ちゃんと考えていないのだ。ちゃんと考えていないので、ものをつくってからも細々とした調整やら改造を繰り返さなくてはいけない。筆者はそれを批判している。「設計段階でなんども練り直し、製作は一度だけ。一発OKになれ!」ということらしい。その通りだ。
私が感動したのは設計思想という考え方だ。ものをつくる上ではいくつかの仕様がある。軽さとか価格とか耐久性などだ。しかし、それらは相反することがあり、どれかを向上すればどれかがダメになってしまう。それは仕方がないものだ。重要なのは「何を優先させるか」という考えを確立すること。優先順位を決めることだ。本書ではボールペンや灯油ポンプを例にあげて、設計思想の分析や既製品に勝つための製品設計の仕方も紹介されていた。私の頭の中には「なんか頑張ってつくる!」という思想しかなかったので、こうやって分かりやすい説明があったのがありがたかった。
本の後半で、筆者はDQD(簡易設計書)の作成を提案している。本書に紹介された項目をエクセル形式でわかりやすくまとめたものだ。(筆者のWEBサイトからダウンロードできる國井技術士設計事務所(Active Design Office)A.D.O)
確かにこれはこれで参考になるが、実際の業務では使いづらい。絶対に作成者以外は全部は目を通さないだろうし、つくるのが面倒だ。エクセルをつつく暇があったら手書でささっと書きたい。
そんなこんなで、よい方法を思いついた。テンプレートだけ印刷し、枠内の文字や強度計算、ポンチ絵は手書きで作成すればいい。そして完成したらScanSnapなどで書類をスキャン。データ化してクラウドに保存。あとから日付や設備名称などで検索できるようになればベストだなぁ。楽しそうだ。
今は会社の景気が良く、じゃんじゃん設備を買っている。この機運に乗っかって、上司にScanSnapの購入ととクラウドサービスの使用をお願いしてみようかな。他の人が描いたポンチ絵をみんなで共有するだけでも効果はあるような気がする。楽しそう!
とてもためになる本だった。
参考:
www.noboyu.com
- 作者: 國井良昌
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: 単行本
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