マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

センサーの信念

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Vernazza sunset photo by Anders Jildén (@andersjilden) on Unsplash
 長い長い夜をかけて合わせていき自然とゼロになるような空気感であった。この不規則なシフトもあと1ヶ月で終了し、私は再びもとの生活に戻る。夜にしか書けない文章もあったのかもしれないが、多分すべてを捉えることはできない。嬉しさも寂しさもそこにはなかった。


 「青色本」の話をしよう。結局、WSが言いたいのはなんだったのか。「語の意味とは使用である。定義などといったものは存在せず、人々の使用感で形成されていったそれにすぎない」そういうことか。確率的な状況の中で我々は生存している。そのような曖昧さは本文中で家族的類似性と表現された。

 家族的類似性の話はまだしていなかったかもしれない。物事には本質などはなく、似通った集団があるだけ。そのような意味だ。家族はだれかしらどこかが似ているものだが、その核となる要素は存在しない。ぼんやりと薄い雲が覆うようなイメージだ。ウィトゲンシュタインがこんなことを書いていたので、私はふと量子力学の雲たちを思い出した。彼らの位置とエネルギーを正確に知ることはできない。知るという行為によって彼らの状態は変化してしまうからだ。そう、不確定性原理である。

 そういう流れで彼はセンサーの話をする。人類に搭載されたセンサーは様々な働きをして私たちに利益をもたらしてくれる。しかしながら、それにも絶対はない。「なぜその数値が返ってくるか」をつきつめて考えると、センサー自体が意志を持つような表現になってくる。意志とは何か。何かとは何か。「世界には最小単位の物質で構成されており、すべての叡智が集まればあらゆることを理解できる」そんなものはなかった。理解ができないのではない。理解ではないのだ。

青色本 (ちくま学芸文庫)

青色本 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン,野矢 茂樹,大森荘蔵
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/11/12
  • メディア: 文庫
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