マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

くだらないものが売れた話/「物を作って生きるには」

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 堅苦しい存在の話は後回しにして、今日は読んだ本の紹介でもしよう。『物を作って生きるには』は、世界中のつくってわくわく!さんにインタビューした記事をまとめた本であり、とにかく表紙のデコボコ感は触り心地がいい。私は常々、「好きなものつくって生計を立てたいな」と考えているが、まさかそんな人が世界中にたくさんいるとは驚いた。彼らが作ったものはマシュマロキャノンだったり、楽器だったり、電子工作キットだったりと様々だがみんな楽しそうだった。

 面白かったのは、TV-B-Goneというデバイスを開発したミッチ・アルトマンという人の話。TV-B-Goneはスイッチひとつであらゆるテレビの電源を消せるリモコンである。彼は店でだだ流れしている(つまらない)テレビにみなの意識が向いてしまうのが嫌で数年かけてそのリモコンを作った。そんなもの、別にこの世界になくても構わない。しかし、彼は自分が「欲しい!」と思うから作ったのだ。プロトタイプが出来上がると、なんだか注目されてきたので試しに2万個を販売することにした。3週間で完売したという。すごい。

もし君が何かを本当に好きなら、他の人もたぶん同じように好きなんだ。そして資本主義においては、もし人々が君のすることを好きなら、彼らは君がそれをするのにお金を払うんだ! その仕組みが僕にうまく働いた。たくさんの人に働いている。君にも働くかもよ?

「物を作って生きるには」p153

 上のは極端な例かもしれないが、私にも似たような現象が起こった。例の「プッチ神父回路」である。

 私は今年の一月ごろに「プッチ神父回路」というくっそくだらない回路をつくった。LEDディスプレイにただ素数を数えさせる回路である。
tsukutta.hatenablog.com

 なんだか楽しかったので、調子に乗ってBASEで開いていたネットショップにそいつを陳列してみた。といっても、ただ画像と説明文を載せただけ。在庫は1点だけにした。自分のもうひとつのブログに告知したくらいで、あとはどこにも宣伝していなかった。しかし、先月BASEから「商品が1点売れました!」というメッセージが来た。うそだろ。家にあった部品を梱包して発送した。マニュアルは現時点では完成していなかったので、とりあえずある分をネット上に公開し、適宜更新していくことにした。購入者からは「シュレーディンガーの猫回路も興味あります!」というメッセージをいただいた。頑張って製品化したい。

 そういうわけで、どんなにくだらないものでも世界のどっかの人間にはその楽しさが伝わるようだった。ちかごろは世界中に販売するコストがどんどん低くなっているので、あまり視野を狭くするのはよくないなと思った。しばらくしたらもっとくだらないものを世界中に売りさばきたい。

 この本はid:kyokucho1989さんから頂いたものです。本当にありがとうございます。別アカウントで自分で欲しいものリストから注文したらどうなるか試してみたらちゃんと届きました。なるほど、あのウィッシュリストは正常に動くようです。やったー。

(なんかください)


今週のお題「プレゼントしたい本」

物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活 (Make:Japan Books)

物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活 (Make:Japan Books)