文章を書こうとしたら体のギアが固まっているような感覚に陥った。潤滑油が足りない自転車のように、ギギギという音が聞こえてきそうだ。それほど久しぶりにこの白いエディタに向き合っているのか。少し驚いた。全ては仕事のせいだ。勤務時間は変わらないのに以前にも増して疲れが溜まっている。やることが増えたが残業をしていないためだ。単位時間あたりの仕事量が増えている。集中しなくてはいけないので、糖分不足に陥り顔が濡れて力が出なくなる。困ったものだ。
HPがじわじわと減っているが、ワクワクを探求することには支障はでない。通勤ルートは相変わらずインコのピーチャン(ズ)がいるし、定時マンともすれ違う。電柱の数はそのままで、近所の学生アベックが相合傘して帰ってる。先日から通勤フラッシュ暗算入門を受講している。座学はなくほぼ演習なので退屈することはない。フラッシュ暗算とはなにか。
フラッシュ暗算とは、コンピュータの画面にフラッシュ式で出題される数字の問題を珠算式暗算を使って計算するものです。
フラッシュ暗算とは | 日本フラッシュ暗算協会
スピーディな暗算のことである。通常は液晶画面に数字を映して計算を行うが、この講義では車道を行き交う車のナンバーを使って暗算を行う、というものだ。四桁の数字を二桁ずつで区切り、両者を足したり引いたりする。
たとえばこれなら[46-15]なので、足せば61、引けば31である。答えは心のなかにしまわずに、つぶやいたほうが楽しい。私は自転車をこぎながら行き交う車たちのナンバーをひたすら計算した。
「31!」
「120!」
「93!」
「1!」
「-40!」
「192!」
「76!」
続けていくと、計算しやすいものとしにくいものがあることが分かる。繰り上がりの計算は面倒くさい。56+09のように一桁ならまだいいが、時々49+73のように二桁とも繰り上がるナンバーに出くわす。「うわぁ、やっかいだな!」と舌打ちするが車は待ってくれない。つぎつぎにやってくるナンバープレートを処理していく。次第に計算スピードが上がり余裕が生まれると、運転している人たちに目を向けるようになる。彼らはどんな顔をしているか。嬉しそう、悲しそう、眠たそう、もしかして怒っているのかぁ……などと推測する。
そう。この講義のねらいは単なる計算力の向上ではなく、他人の心情を察する力、O-MO-TE-NA-SHIの力をパワーアップさせることにあるのだ!相手の顔色をうかがいつつ自分の時間給や出張手当を算出しよう。論理的計算能力と、直感的おもいやり力。左脳と右脳。通勤フラッシュ暗算は両者を一度に高めることが出来る優れた学習方法である。
そのようにして講義は終了した。今日も業務全く関係のないところで頭を使ってしまった。幸いレポートは課されなかった。
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