マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

社会を変えるのは批評ではなく、圧倒的なテクノロジーである。

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aniram-czech.hatenablog.com

Live History - Quishin - TwitCasting

 早く起きたもののまだ眠い、と言いたげな息子をあやしながら、チェコ好き(id:aniram-czech)さんとくいしんさんのツイキャスを聞いた。Bluetoothのイヤホンを利用して聞いた。だっこしながら寝ろよ寝ろよ歌っていたら息子はおとなしくなり、寝た。私はソファにゆっくりと腰掛けた。

 チェコ好きさんとくいしんさんがどこかの居酒屋で批評について語っていた。まわりがウェーイと騒いでいるだけに二人の固い話題はどこか異質だった。まさか店員さんも彼らがゲンロンや思想、社会のこれからについて語っているとは思うまい。私はいくつかの点でなるほどなるほどと聞き流しながらネットサーフィンにいそしんだ。チェコ好きさん曰く、批評の地位(ステータス?)はインターネットが登場するより前から低くなってきたらしい。確かにいまは批評をみる機会がない。皆はSNSを通してナウでヤングな生データのやりとりをウホウホ行っている。その媒体はInstagramだったりTwitterだったり、Vineだったりするが、彼・彼女の目的はだいたい一緒だ。ウホウホ。

 チェコ好きさんは自身のブログやnoteに文芸批評、映画批評の記事を書いているがそれだとあまり人の反応はよろしくないらしい。そこで、恋愛やマネーなど一般ウケしそうな話題に批評ネタを絡めて集客を行っているようだ。それは後に誰かがコメントした「ワンピース歌舞伎」と同じスタンスだ。チェコ好きさんとワンピース歌舞伎。

 私はくいしんさんという存在を知らなかった。彼は漫才の道からウェブ系の仕事へうつり、いまは会社員をしているらしい。異色なのか普通の経歴なのか分からない。けれども面白そうな人だというのは分かった。二人の対談は主にチェコ好きさんからの話題提供が多く、彼は聞き役に回っていた。しかしながら会話の主導権はくいしんさんにあるようで、どことなく川添(id:kkzy9)さんを連想させた。「それはチェコ好きさんにとってどういうメリットがあるんですか?」という質問とか。

 チェコ好きさんは批評家をもっと増やそうとしている。柔らかく言うと、批評に対して関心を持つ人を増やそうとしている。彼女は砂浜のたとえばなしをした。人間たちが人という字を砂浜に書いている。それを高台にいる人が「それは人って読めるぞー!」と叫ぶ。高台にいる人が批評家である。彼らは日常から一歩離れたところから世界を眺め、それに意味を与えている。チェコ好きさんは高台に行く人が増えれば批評の文脈が増して、社会はより良いものになる。という旨の発言をしていた。果たしてそうだろうか。

 残念なことに、社会を変えるのは批評や思想ではなくテクノロジーだ。青銅器、望遠鏡、蒸気機関、電力、インターネット、スマートフォン、新しい技術は次の時代を呼んだ。その動きはこれから加速する。シンギュラリティが起きて、AIが人類の知能の総和より賢くなるのはもうしばらく先だ。しかしそれ以前にもいろいろと楽しそうな技術が生まれるだろう。私はそろそろAR(拡張現実)技術によって新たなデバイスが生まれるのではとウキウキしている。

 私は批評家になれない。というのも私は高台に上るより、砂浜で砂いじりをするほうが好きだからだ。一歩離れたところにいたら、砂のザラザラとした質感や、波のヒンヤリとした冷たさを感じることができない。何かを語ったり文章を書くのも嫌いじゃないが、何かを作ることも好きだ。ハイパーメディアクリエイター!とまではいかないが、わくわくさんに私はなりたい。 

WIRED VOL.20 (GQ JAPAN 2016年1月号増刊)/特集 A.I.(人工知能)

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