マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評】お前ら、ブログなんか書くな!プログラミングも古い!物を作れ!物を作れ!そして物を作れ!/「Makerムーブメント宣言」

衝撃。

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Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)

 私たちは、人類史上最大の創造性と知識の創造とイノベーションの爆心地に立っている。

 僕は今、とんでもなく素晴らしい時代に立ち会っている。物を作るためのハードルがどんどんと低くなっているのだ。オープンハードウェアのArduinoは3000円足らずで手に入るし、3次元CADのAutodesk123dは無料で入手できる。鉄を削るための工作機械が安価で利用できるスペースが、世界中で増殖している。あと一〇年もしたら、小学生でも簡単にロボットを作れるようになるだろう。

 『Makerムーブメント宣言』を読んだ。どこかミサワ的な響きをもつタイトルだが、書いてあることはいたって真面目だ。DIY誌『Make:』から始まった「なんでもつくろうぜ運動」(ハードウェア2.0、Makerムーブメント)は草の根的にじわじわと広がっている。著者は工作機械を使えるスペース、テックショップのCEOだ。彼の自由な工房には様々な人が訪れては、毎日イノベーションを起こしている。デスクトップダイヤモンド製造機、モバイルクレジットカード読み取り機スクエア、極小人工衛星キューブサットなどなど。

 この本の目的は、maker主義を読者に啓蒙することだ。僕はすっかり啓蒙された。聞いたことのない素晴らしいサービスがたくさん出てきて、「こいつぁ、すげーや!」と興奮した。

スマホゲームするくらいなら物をつくれ

 最近、社内でスマホゲームが流行っている。単純なルールとコレクション性を兼ね備えた、よくあるやつだ。経験値を貯めたり、レアキャラを集めるため、ある人は休日は数時間そのゲームをして過ごすらしい。「すげえな」と思う反面、「もったいないなー」とも感じる。所詮はデータのやりとりであって、アプリを消去してしまったら何も残らない。もっと身のある時間の使い方をしたいものだ。

 一方で、資格をとるために休日を勉強に当てる人もいるだろうが、それもおすすめできない。なぜならそんな勉強はつまらないからだ。教科書に線を引き、用語を覚えて、過去問を解いて傾向を調べる。いったい何が楽しいのか。会社で必要なら仕方が無いが、自主的にそのような苦行を重ねるのは、非常に時間がもったいない。

 物を作ろう。自分の手を動かすなら、作るものは何でも構わない。電子工作でも、陶器でも、料理でも、作物でもいい。物を作るとリアルな経験値が手に入るし、実際レベルアップする。作業がどんどん速くなるのだ。人間は三次元世界で生きているのだから、ゲームよりリアルでの活動に重きを置いた方が体に良い。 

 実体のあるものを作ることは、バーチャルな何かを作るよりも、ずっと親近感があり、ずっと充実度が高い。(中略)素晴らしい文章を書く、ブログを書き上げる。それもクリエイティブな行為だ。自分が成し遂げたことに満足感を覚える。しかし、実体のあるものを作ったときの肉体的な満足度にはかなわない。

 そういえば、以前よりもブログに懸ける熱量が下がってきた。「仮想世界に文章を残して一体何になるんだろう」と、一種の虚無感を抱くようになったからだ。今はブログよりも電子工作に力を入れている。レスポンスはブログに比べたらごくごくわずかだけど、実際に手に取れるものが「ポンッ」とできると、それだけで嬉しい。

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photo by soy7maas7

創造とは遊ぶこと、学ぶこと、そして働くこと

 大切なのは、学ぶことを学べ、ということだ。私たちは、学ぶことを学ばなければならない。創造し開発し、他人の高い評価が受けられる物やサービスを育てるスキルを磨く必要がある。

 物をつくることは楽しい。機械いじりやガーデニングが趣味ならば、その行為は立派な遊びだ。しかし、単なる遊びではない。大体の場合、今もっている知識だけではできないことが多いので、その方法を調べる必要がある。How to本を読み、ネットで調べる。たとえ、チュートリアル動画が外国語であろうとも、熱意があれば理解することが出来る。これを学習と呼ばずになんと言うのか。

 そして、成果物を公開すれば何かしらの反応が返ってくる。「売ってほしい」「作り方を教えて」という要望があるかもしれない。それに答えていけば、生計が立てられるかもしれない。物をつくることは、仕事をつくることにもなるのだ。今、僕の周りでは、もの書きになりたい人が数名いる。しかし、世界に対してペン一つで立ち向かうというのは無茶なものだ。文章を書ける人間は無数にいる。それよりも手に取れるコンテンツをつくった方がいい。

 物というのは世界共通の言語だ。外国人に対して、「私はロボットをつくりました」と、言葉で説明しても分からない。けれども、ロボットを相手にみせれば一発で理解してもらえる。「Awesome!」「Great!」なんて言われるかもね。

3Dプリンターだけがすごいわけではない。

 昨今のメディアでは3Dプリンターばかりがとり上げられている。何でもつくれる魔法の機械だと言わんばかりに。けれど、加工に時間がかかるし、精度も悪い。本書でも、今ある部品が3Dプリンターに置き換えられることはないと述べられている。訳者の金井さんは巻末で以下のように書いている。

 しかし、実際に『MAKERS』を読めば分かるように、3Dプリンターはハードウェアスタートアップの活動を推進する数ある要素のひとつでしかない。むしろ鍵となるのは『生態系』でなのである。

 生態系とは、物をつくる側のメーカーと使う側のユーザー、そしてその間のコミュニティを指す。はてな村みたいなものだ。20世紀までは企業間の競争行われていたが、これからは生態系間の競争が起こるそうだ。

 なんだか宇宙戦争のように聞こえる。これまでの一〇年はソフトの革命が起こった。そしてこれからの一〇年はハードの革命が起こるはずだ。誰でもなんでもつくれる世の中がどんどんと近づいて来ている。

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 こちらからは以上です。