まとまりのない一日を過ごした。気分は落ち着かず、気圧も低かった。空は大変に低く、いまにも僕の元へ襲ってきそうな恐怖があった。それは二の腕あたりに伝染し、自分のゴールを見通しきれない不安へと繋がった。
コンバートされたポジションの守護神がいて、「まだ移るべきではない、移るべきではない」と繰り返し叫んだ。僕はちゃんと聞こえていただろうか。朝焼けの記憶が色濃く残っている程度に、奮起した。
境内の階段を掃除した。何度も登っては降りてを繰り返し、バケツリレーに参画した。橋本は相も変わらず社内規定外の通勤方法を用いて僕らを困らせていた。僕は僕で、突然鳴り響く内線の攻撃を受け止めきれるようにはなっていた。まだ新人なので、自分のもとへ誰かが連絡してくることはない。それでも、用件を聞き誰かにとりつぐのは苦手だ。
ようやく研修期間が終わる。勤務地は今と変わらない。変わらないのはいいことだ。環境が変わると人間関係や所作を見つめ直さなくてはいけない。それはとても疲れることだ。
帰ることになって、突然雨が強くなった。傘を忘れた僕は一目散で駅に向った。龍角散のど飴をなめた。
駅のホームは人でごった返していた。ごった返すという表現が日本語として正しいかどうか分からないが、たしかにそれはごったであり、返していた。仕事帰りのサラリーマンや部活帰りの学生、遊び疲れた小学生らがみな同じ電車を待っていた。少し経ってから、車両がゆっくりと入ってきた。窓にはびっとりと結露が貼っていた。それだけで不快な気分になる。
一駅分移動すると、ぼくはさっさと降りた。雨は弱まっていた。家に帰り、買い物袋を手に取ると、スーパーへ出かけた。卵と牛乳、そしてバナナを買った。
羊の話の続きを読んだ。
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