マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

書評、読書感想文の書き方

100記事以上書いてきたので公開してみる。

 去年からブログで本を紹介してきたが、いつの間にかその数が百を越えていた。ずいぶん前に「あと百冊書いたらノウハウを公開しようかな」*1と言っていたので、今日は書評の書き方を教えようと思う。

書評に必要な態度

 友人にその本を紹介するように書くこと。よく見かけるのが引用文やあらすじをだらだらと書き写して最後に自分の考えを一言二言添えるだけ、というスタイル。友人にむかってあなたは同じことを行うだろうか。

「この本やばいよ」
「え?どこが」
「だから〜、ぺらぺらぺらぺら……」

十分後

 「っていうわけなんだよー」

 これでは本の面白さが伝わるわけがない。友人に紹介するなら、あらすじと気に入ったフレーズと述べるに留まる方が良い。「それだけでいいの?」と思うかもしれないが、それだけでいい。

 ただ、もう少し付け足したいと思う時は次の要素を加えるといい。

書評を書くときに必要な要素

 要約、引用、あなたが言いたい事、関連。書評はこの四つの要素を満たせばいい。その本には何が書かれているか、印象に残ったフレーズ、あなたは何を言いたいか、関連した話という風に文章を展開していくのだ。

 要約は僕が書評を書く上で一番苦手な箇所だ。教養本でも小説でも、筆者の文章を自分の言葉に変換する作業は疲れる。はじめから完璧に書こうと意識しないほうがいい。教養本なら「これは○○について書かれた本です」、小説なら「これは誰々が○○をした話です」と一文で言い切ってしまうのもありだ。

 引用文については、本を読んだあとに探しやすいように、読書中に付箋をつけたり書き込みをするようにしよう。経験上ではハードカバーには付箋が、文庫本には書き込みが適している。古めかしい岩波文庫に万年筆で線を引くのは楽しい。

 大事なのは「たくさん探し、ひとつ載せる」こと。よい本ほど使いたいフレーズがたくさん見つかってしまうが、それを全部記事に載せるのはやめよう。引用はひとつ。多くてもふたつだ。

 書評に使わなかったけど心に残ったフレーズは記録しておこう。僕は京大式カードにひとつずつ書き残している。*2こうして文脈をとっておくと、次回以降で使える。引き出しを増やす作業、保存食をつくる作業に似ている。

 引用文から言いたい事をひねりだそう。「面白かった」「感動した」では全く伝わらない。例えば「『君主論』が言う理想的なリーダー像はフリーザだ」という感じで。言いたい事は決まってしまえばあとはつらつらと筆を進めるだけだ。自分の話にもっていこう。

 自分語りをしよう。読者は書評に一般論を期待しない。「あなたがどう感じたか」を知りたいのだ。

 そういうわけで、関連は「言いたい事」に関する自分の話を書くといい。また、今まで読んだ本に共通項が見つかればそれを抜き出してもいい。参考文献を重ねていくと、記事が立体的になり信頼性がぐっと高まる。

 本の内容を全て覚えている勝間さんのような人には関係のないことだが、こんなときに先の保存食が利用される。読書の全てをブログや読書メータなどデジタル媒体に記録するのもいい。しかし、俯瞰したり並べ替えたりする際にはアナログ媒体が有用だ。紙やカードにごりごり書いておこう。

書く順番を変える

 先の四つの要素は基本的に、要約、引用、言いたい事、関連の順に書いていく。しかし、順序を変えてみるのも面白い。

 例えば、関連をはじめにもってくる手法。「僕は帰ると、いの一番に米を炊く」と書き始めて、ボトルネックをなくす話にもっていく。「いったいなにがはじまるんです?」と相手がそわそわしてきたところで、エリヤフ・ゴールドラット著『The Goal』を紹介するのだ。

 ブログは書き出しが重要だ。タイトルの重要性はSEO系ブログでたくさん述べられているが、書き出しも同様によくよく考えてほしい。

 言いたい事を書き始めにもっていくと、論理的な文章になる。引用で書き出せば、文章全体が詩的な雰囲気に包まれる。このあたりは試行錯誤だ。自分のやり方を見つけてほしい。

おわりに

 週三冊書評記事を書く。それを心に決めてブログを更新してきた。社会人になるまでは、「働き始めたら読書の時間が持てなくなるのでは」と不安を抱いていたが、今のところ問題ない。自由な時間は確かに減ったが、ないなら作ってしまえばいいのだ。

 しかし、いくら時間をつくっても書評を書くのは難しい。今回紹介したフレームワークがみなさんの役に立てば幸いだ。

ニッポンの書評 (光文社新書)

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