マトリョーシカ的日常

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【書評】これ一冊で世界最大の自転車レースが丸わかり!/「ツール・ド・フランス」【感想】

自転車!

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ツール・ド・フランス (講談社現代新書)

 本棚破壊リストからまた本を頂きました。本当にありがとうございます。ツールド・フランスとはフランスで毎年行われている伝統ある自転車レースのことだ。本書はスポーツジャーナリストである山口和幸が、ツールド・フランスの概要や有名な選手や歴史的な事件を紹介している。最近は日本でも自転車競技の認知度が高まり、自転車をテーマにした漫画やアニメや小説が多く扱われるようになってきた。僕は弱虫ペダルというアニメから自転車に対する興味が出てきたが、この本を読んでホンモノの伝統や歴史を味わうことが出来てとても興奮した。巻末にある詳細な年表と大会記録も魅力的だ。

箱根駅伝と大相撲と甲子園が一緒になったようなお祭り

 本はツールド・フランスとは何ぞやという疑問に答えるところから始まる。この大会は二十三日をかけて行われる。一日に走る距離は約二百キロでそれを一ステージとして数える。最終日を終えて合計時間が最も短い人が優勝だ。また優勝とは別に四つの部門賞が設定されておりひとつのステージが終わるごとに表彰される。まず今までの所要時間の合計が最も短い人に送られるマイヨジョーヌ、次にステージの着順等で与えられるポイントで決まるマイヨベール、いわゆる「山岳賞」のマイヨブラン・アポワルージュ、最後は新人賞のマイヨブランだ。表彰された人は色付きのジャージ、リーダージャージを着用して次のステージに挑む。ジャージの色はそれぞれ黄、緑、赤い水玉、白だ。この工夫によって選手の顔が分からなくても来ているジャージの色で誰が強いか判別できる。

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photo by choudoudou
(※ごめん、よくわからないや。)

 ツールド・フランスはいろいろとすごい。まずコースがすごい。アルプス、ピレネー山脈を加えてフランスを一周するコース作りになっている。そして参加人数がすごい。参加チームは九人編成のチームが20から22チーム。つまり約二百人が一本の道路を群れをなして走る。さらにお祭り騒ぎがすごい。大会では箱根駅伝の往路と復路を一日のうちに駆け抜ける。それが二十三日間も続くのだから観ている方としては正月が一ヶ月間あるようなものだ。さいごに歴史がすごい。ツールド・フランスは昨年で第百回を迎え、ツールド・フランスの歴史は自転車ロードレースの歴史とも言えるだろう。

 日本で言えば箱根駅伝と大相撲と甲子園が一緒になってやってきたようなものだ。楽しそうだなぁ。

日本人選手の活躍

 この本の読みどころはどこかと聞かれれば、大会を七連覇したアームストロングのドーピング騒動もそうだが日本人選手の活躍も見逃せない。96年に出場した今中はリタイアしたが、2009年には別府と新城の二人が出場しともに日本人で初めての完走を果たす。それまで文章では歴史上の著名な選手の走りっぷりを書かれているため、「なんだ、ただ完走しただけじゃん」と思ってしまうかもしれない。だが二十三日間も自転車に乗り続けるこのレースはとても過酷であり完走すること自体もとても大変なことなのだ。筆者の文面からは日本人選手の苦悩や葛藤がこちらにもひしひしと伝わってくる。遠い外国のレースも日本語で語られるとぐっと身近に感じることが出来るからだろう。

 僕は別府選手の以下の言葉が印象に残った。

「総合優勝争いだけがドラマじゃない。集団の中にだってさまざまなストーリーがあるんです。レースが終わって夕食のテーブルについて、チームメートとそんな話をするのが最高に楽しい。この時間が永遠に続いてくれたらと思うほどです」

おわりに

 著者は日本人ジャーナリストとして彼らの活躍に心を打たれ、これからのツールド・フランスは日本人の時代が来る可能性を示唆している。僕も今年から大会を観てみようかな。
 
 本棚破壊リストには他にも僕が読みたい本が入っています。気になるものがあればぜひ送ってください。感想を書きます。