短縮バージョンでお送りします。
池上彰のやさしい経済学 (1) しくみがわかる (日経ビジネス人文庫)
今日も前回同様に経済学関連の本を紹介する。本書は池上彰さんが経済について芸大生に集中講義を行ったときのやりとりを中心に書かれたものである。マクロ経済やミクロ経済などの枠は特に設けず、経済において重要な要素と経済学の大まかな歴史、また日本が直面している社会問題を分かりやすく解説している。
残念なことに時間がないので勉強したことを短縮バージョンでお送りする。
経済とは資源の最適配分を考えることである
前回の書評で僕なりの経済観、経済とはなにかを考えたが池上さんのほうがずっと分かりやすく書かれていた。
経済学というのは(中略)資源の最適配分を考える学問なのです。
限られた資源をどうやったら無駄なく使えるか。三百円以内でいかに高パフォーマンスなおやつを買えるか、少ない勉強でいかに多くの単位を得るか。はてなでも時折ライフハック系の記事が話題になるが、経済学もそんな最適化問題を考えることだったのだ。
アダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマン。
この本が非常に強力なのは少ない文章量にも関わらず経済学の重要な思想をぎゅぎゅっと詰め込んでいる所だ。経済学という真の答えのない学問に、その時代にフィットするような思想をえらい人がいろいろと考えている。池上さんはそれを処方箋と表現している。
経済学というのはそのときそのときの対策として処方箋を書きます。状況に応じて新しい経済学者が新しい処方箋を書くということを、繰り返してきたのです。
ここで本書が挙げた四人の偉人たちの思想についてざっくばらんに紹介してみよう。
アダム・スミス:みんな自分の利益だけ考えて生活していけばいい感じに経済は回っていくんだ。これ、「見えざる手」な?
マルクス:そうやってると一部の金持ちとその他大勢の格差が広がる。んでその他大勢の労働者が革命を起こしちまう。
ケインズ:景気が悪くなったら政府が借金してでも金をばらまけばいいよ。使った分以上に効果がでるから。資本主義はまだまだ終わらねぇ。
フリードマン:自由だぁぁああ!
おわり
六百円とは思えないボリュームに大満足。やよい軒の定食でご飯三杯おかわりした気分だ。さすが池上さんという感じで経済はもちろんのこと、EPAやTPPや社会保障など世界の社会問題に対しても非常に分かりやすく解説している。いきなり資本論とか難しいものにトライするよりは、まずこちらを読んでおいたほうがいい。
こちらからは以上です。