マトリョーシカ的日常

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【書評/感想】凸空間を探す旅/「失はれる物語」

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失はれる物語 (角川文庫)

 
 やっと冷蔵庫が届いた。これで人並みの生活が送れる。今日はダンボール箱の中から未読本を探して真っ白な新しい部屋で読んだ。遠くから電車が通過する音が聞こえる。

 失われる物語は乙一さんが書いた短編集だ。現実から少し離れた設定と、共感できる人物の心情に夢中になって読んでしまった。ZOOと同じくこれらの短編集は二人組がよく登場する。まれに三人なこともあるが主な話は二人によって展開される。例えば失はれる物語は事故により右腕の感覚以外を失った夫とその妻の話だ。乙一さんは閉じられた空間で物語を完結させるのが好きなのかもしれない。

 閉じられた空間と言うと僕の研究にもよく使われている凸空間を思い出す。非凸も凸も閉空間であるのは確かだけれど凸空間は空間内の二点間を選び直線を引くと、直線がはみ出さないような空間のことだ。凸空間だと変数に対して線形に書けるので計算が容易だ。

 僕らの世界でどこに凸空間があるのかと考えてみるとそれはネット上に存在してるのではという結論になった。実世界では隙間や行き止まりや袋小路などどうしても繋がらないことがある。しかし仮想世界では何とでもダイレクトに繋がるのだ。それが良いか悪いかは別として。

 ネット以外で凸空間があるとするとそれは本の中にある。筆者と自分がさしで対話できる。雑音が入るかもしれないが書かれている文字は消えはしない。生涯を掛けて読み切ればいい。

 何を書いているのか分からなくなったけどそういうことなんだ。僕はただ感情を吐き出してここに捨てよう。分別はしない。