神ではない
羽生と書くと読む人によってはにゅうかはぶかに分かれる。僕は後者だ。小学生のころは父とよく将棋を指していて、羽生善治の名前も知っていた。若いけどとんでもなく将棋が強いひと、という印象を子供ながら持っていた。
角川のセールがもうすぐ終わるのでもう一冊買うことした。羽生善治の著書である決断力は棋士がどのように将棋を読み合うのかや将棋の歴史、彼の生い立ちなどが書かれている。
読み終わって一番頭に残ったのは棋士は研究者とよく似ているということだ。十の三十乗にもおよぶ棋譜の砂漠をさまよい、勝てる将棋の戦法を探し求める。やみくもに探すのではない。仮定を立て実験し、実践を行いそのあとで反省または考察を深める。大学の教授とやっていることは変わらない。
僕が今までに持っていた印象は棋士とは時間があれば何手先も完全に読み切ることができるというものだ。それが時間によって制限されており、いかに頭の回転数を早めるのか勝負の鍵だと。ただ羽生さんの話では違うらしい。棋士は全ての駒のパターンを読めるわけではなく、直感でどれが良いかわかるというのだ。何十種もある次の一手から良さそうなものを二つ三つに絞るのだ。
その直感力はどうやって鍛えるのか知りたい!と思ったが期待されていた答えは書いてなかった。そう、これは決断力の本。直感のことは直感力に書いてあるのかもしれない。
羽生善治さんと梅原さんは似ている。常に新しい手で勝ちたい。やわらかい手を目指したい。変幻自在。天才とは向上心を失わずに努力し続けることができる人なのだ。
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2012/10/01
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