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【書評】絶対に手を出してはいけないSF小説/宇宙英雄ローダン・シリーズ(100) アンドロメダへの道

壮大すぎる時間軸となんでもありの設定

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アンドロメダへの道 (ハヤカワ文庫 SF 556―宇宙英雄ローダン・シリーズ100)


 生協でたびたびローダンシリーズの新刊が置かれており気にはなっていた。しかし日本語版の文庫本で453巻まで発行されていて、とても読む気にはなれずスルー。こち亀やジョジョよりずっと長いではないか。

 今月は節約のため100円文庫を買おうとブックオフへ赴くと、なんとローダンシリーズがずらりと並んでいるではないか。1巻はなかったのできりの良い100巻から読み始めることにした。結論から言うと、すごく面白い。知らない単語ばかりだが、壮大すぎる時間軸と詰め込み自在の設定に襲われ、いたるところがドンキ製品で埋め尽くされた新宿駅構内をさまよっているような感覚になる。

 これは手を出してはいけない。絶対に全巻読みたくなる。


おおまかなあらすじ

 1971年6月、ローダンを含めたチームは宇宙船に乗り込み月へ飛んだ。着陸成功したら宇宙人のアルコン人がいて、たくさんの技術を提供してもらった。それから人類の発展はすさまじく、銀河からやってくる敵を倒し、超知性体「それ」から「細胞活性装置」を提供され、ローダンたちは不老不死になった。おれたちの冒険はまだ始まったばかりだ。

 100巻ではローダンとアブロが結婚式を上げるシーンから始まる。幸せな出来事の裏では不穏な空気が流れていた。アントワープ=コーポレーションのハルマン切り替え器の売り上げが急増しているのだ。これはちょっとした細工を施せば超強力な兵器になりうる。しかし買い上げた奴の狙いは本当にそれだけなのか……?

 舞台は太陽系からアンドロメダへ一気にスケールアップ。見たことのない兵器、景色、現象がローダン一行を襲う。彼らの運命やいかに。

昔の未来

 SF小説はだいたい未来を舞台にして書かれているが、ところどころに登場する機器や風習はどこか時代を感じさせる。たとえば以下のシーン。

 これまでより詳細にメッセージを繰り返す。その背後で計算脳がふたつめの穿孔テープを吐き出す。そっちも見ずにかれはテープをとると、読んだ。いっとき黙ったが、しわがれ声で、「全員につぐ! ブルー族がアルコンを急襲! ブルー族艦隊の主力は目下……」

 穿孔テープとは記録媒体の一種で、二進数を穴の有無に変換し記録するものだ。カセットよりずっと古く、僕の教授が学生のころ使っていたと聞いたことがある。100巻の原著が発行されたのは1967年。当時の技術ではPC、スマートフォン等の登場は考えられなかったのだろう。シリアスなシーンなのに技術のギャップに笑ってしまった。

ローダンシリーズの魅力

 ローダンシリーズの魅力は冒頭で述べたこともそうだが、未開の地を切り開く期待感にあると思う。今日、地球上はいたるところに人が住んでおり、ネット上からでもストリートビューで海外旅行ができるほどになってしまった。地球はもう新しい土地などないのだ。しかし宇宙にはある。宇宙は果てしなく広く、しかもまだ膨張を続けているらしい。ローダンたちが地球を飛び出し太陽系、アンドロメダと未開の地へ赴くとき、僕ら読者はワクワク感で胸を熱くするだろう。

 もう手を出したからには全巻読まないと気が済まなくなってしまった。死ぬまでに読み切りたい。