マトリョーシカ的日常

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【書評】これを読まずに死んだらもったいない!/「そして誰もいなくなった」

超有名小説!

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そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


 なぜ今まで読んでいなかったのか、と不思議に思うくらい有名なミステリー小説。孤島に招待された十名の男女が連続殺人事件に巻き込まれる。
 童謡の通りに一人、また一人と死んで行き、そして最後は……みんな死んでしまった!?犯人は一体誰なのか?

 今日はこの小説の魅力を挙げる形で感想を書いていく。


魅力その1:個性豊かな登場人物

 まず、何といっても十名の登場人物みんながキャラが立っていることだ。医者、判事、元警部、教師、元陸軍など、職業の面からみてもそうだが、それぞれの性格が違っていて面白い。ロレンスは冷静沈着で事件を客観的に説明するのに対し、ヴェラは
若い女性ということもあり、恐怖、不安などを表に出しやすい。ロンバードは明るい好青年だ。

 もし事件が起きず、一週間彼が共同生活を送る様子を書いても、けっこう面白い作品ができたかもしれない。そんなことは決してないのだが。

魅力2:童謡に沿って行われる殺人

 物語の冒頭でヴェラは部屋にひとつの童謡の歌詞が書かれているのを発見する。十名の兵隊をうたった歌で、何かが起きるたびに一人、また一人と兵隊が死んでいく。
 そしてその通りに殺人が行われるのだ。僕は一人殺されるたびに歌のページに戻って照らし合わせていた。

 歌の最後は「そして誰もいなくなった」で終わる。「まぁ、一人は残るだろう」と思っていたら、十名の登場人物が全員死んでしまって、どうしようと思った。

魅力3:人が減るにつれてより一層増す緊迫感


 慣れない土地に着いたと思ったら、次々に起る殺人。人数が少なくなるにつれて、場の緊迫感はいよいよ増してくる。昨日まで疑っていた人が今日殺される。誰を信じていいのか分からなくなる。そんな環境なら誰だって気が変になる。

 優雅に摂っていた食事も最後の方は缶詰めだけになっていくのはそれを象徴している。

おわりに

 ページ数の割にあっと言う間に読めてしまった。最後のネタバラシは「そりゃあ、気づかないわ!」と思うものだった。初見でトリックが分かった人は探偵の才能がある。

 暑い夏にひんやりミステリー。おすすめです。