どもる大学生
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初めて吃音という単語を耳にしたのは最近のことだったと思う。口がうまく回らず、しゃべれない、つっかえる。僕もそうだ。小学生のころから症状が出始めたが高校入学の時には回復した。しかし一年ほど前からどもることが増えてきた。伝えられない苦しみは、なってみなくては分からない。
イギリス王ジョージ六世(アルバート)も吃音だったという。職業柄、大衆にむかってスピーチをしなければいけないのだが、うまく話すことができず、兄や父に任せっきりにしていた。しかし父親の代理で行った演説が散々な結果に終わってしまい、アルバートの妻であるエリザベスはある言語療法士をみつける。妻言われるがままその医師の元へ向うアルバート。吃音をなおす治療が始まる。
大音量の音楽を聞きながら話す、歌うように話す、あごの力を抜く……。実際に使えそうな治療法がいくつも試されていて興味深かった。一番印象に残ったのは幼い頃の恐怖体験が吃音に影響をおよぼすということ。
父親の死、兄の退位によってアルバートが即位することになった。同じ頃、ドイツのポーランド侵攻を受けてイギリスはドイツに宣戦布告する。第二次世界大戦が始まる。国民を勇気づけるためアルバートは長い長いスピーチを行うことになる。
最後の吃音を押し殺しながらのスピーチは観てるこっちもハラハラした。頑張れ頑張れと祈ってしまった。どもりの自分と重ねて彼の口上を聞いていた。
淡々と物語が進んでいくので味気なく感じる人もいるかもしれない。けれど不思議とだらけることがない。あっという間の二時間だ。
おわりに
近代史を勉強したいなぁ。世界史、日本史、地理とかもいろいろ。考察が深まるんだろうな。