マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

【書評】この銀河単位の描写はまるで、二十億光年の孤独/「スプートニクの恋人」

たったひとフレーズ心に残しておけばいい

 小説ってそんな読み方でいいと思う。ライフハック本みたいにテクニックを羅列しているわけでもないし。登場人物の名前なんてだれかと語り合うことがなければ覚えておく必要もない。たったひとつのフレーズを心に残しておけば。それだけで十分に価値がある。

 

 ぼくはなにかを考えようとし、それからなにも考えまいとする。しかしそれらのあいだには実際にはどれほどの違いもない。ものごととものごとのあいだに、そして存在するものと存在しないものとのあいだに、ぼくは明確な違いを見いだすことができない。

 スプートニクの恋人 (講談社文庫)


 このページを開くまえに、聞いたことがあった。確かにあった。それはニュースの特集かもしれないし、別の本かもしれないし、ゲームかもしれないし、音楽かもしれない。

 とらえられない「かもしれない」を積み重ねて生きていくんだなぁ。

 ストーリーは特に意味もないはなし。女性を捜しにギリシャへ行き、見つからずに帰ってくる。それだけ。