オシャレバリアをくぐりぬけ
やった。僕はついにやった。今日はじめてスターバックスに入ることができた。しかも一人で。通学途中、見かけては「オシャレそうだな。あそこでコーヒー飲みながら勉強できたらカッコイイだろうな」と思いながら通り過ぎるのを繰り返していた。それを達成できたのだから、今はちょっぴり幸せな気分に浸っている。
授業が早く終わり、意を決してあの茶色っぽい店内に足を踏み入れた。中はそれほど広くない。窓際にカウンター席がいくつかあり、四人掛けのテーブル席が十ほどあるくらい。やさしい照明と穏やかな音楽。緊張していた僕も少し落ち着いた。何を頼もうかとレジ上のボードを眺めた。某ハンバーガーショップとは違い、とてもメニューがわかりやすい。といっても、よくわからないメニューが多かったので「スターバックスラテ」を頼むことにした。
「すみません、スターバックスラテ…」
「あ、はいメニューどうぞ」
レジに近づきながら注文したら、店員さんがメニュー表を取り出してきた。あ、あるんだ。よかった。サイズはショート、トール、グランデ、ベンティ…。よく分からなかったので一番小さいものを頼むことにした。340円。(スターバックスラテのショートをお願いします)
「マグカップでお出しすることもできますが、どうされますか?」
「あ、じゃあ、はい、それでお願いします」
「ホットでよろしいですか?」
「はい」
「かしこまりました。黄色のランプでお待ちください」
右手の方をさされる。ランプというより間接照明に近いオシャレなものだった。手前にストローがあったが、マグカップにストローは合わないだろう。持っていかないことにした。そのかわり、緑色のフリーペーパーがあったのでそれを左手に持たせた。
「スターバックスラテの方、」
待っているのは僕だけなのに、ちゃんと確認してくれた。やさしい店員さんだった。暖かいマグカップを手にしてカウンター席へ向かった。おお、これがスターバックス。ちゃんとスタバしてるよ、オレ。写真が取りたかったので、シャッター音が気にならないアプリでラテを撮影しそれから飲んだ。普通の味だった。特別なことはなかった。
でも幸せだなあと思った。カフェインのせいか、ブログのアイデアもよどみなく出てきた。RHODIAを持ってくればよかったな。
カップをどこに返せばいいか分からなかったので、店員さんに直接返した。店を出ると、美容院から出てきたのと同じ感覚を覚えた。リセットボタンを押された感じだ。ここへはあまり来すぎないようにしよう。お小遣いがすぐになくなってしまいそうだ。
Road / Moyan_Brenn_BE_BACK_on_10th_OCT
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