マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

空虚な原子内にはびこるネプチューンマン

 そろそろ量子力学の話を聞くのも飽きて来たと思うがつきあってほしい。私も別のことを書きたいのだが、いかんせん書くべきことがまだあるからどうしようもない。

 量子力学という学問が産声をあげた頃は、みなはそれほど量子というものに注目していなかった。そのときに大人気だったのは放射能の話で、それゆえ初期のノーベル賞受賞者はレントゲンだったり、キュリーだったりする。

 放射能の強さは「粒子銃」として利用されていた。放射能を放つ物体を穴の空いた鉛張りの箱に入れると、穴から粒子がずばばと流れる。ラザフォードは粒子銃を用いて、高速度のアルファ粒子を金属の薄膜に照射した。だいたいのアルファ粒子はそのまま通り抜けたが、ごく一部は大きく跳ね返った。このことからラザフォードは核をもった原子の理論を提案した。原子の構造については、J.Jトムソンが「原子の中に電子が均一に分布している」というモデルを提案していた。しかしラザフォードのそれはトムソンのモデルとはまた違うものだった。

 ラザフォードのモデルには問題があった。原子の中心に正の電荷をもつ核があり、負の電荷をもつ電子がその周りを運動していると考えると、それらが安定に運動するわけはないからだ。マグネットパワープラス!マグネットパワーマイナス!とすると、クロスボンバーの関係が成り立ち、電子は原子核のほうへ引き寄せられてしまう。

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 ボーアはこの解決の鍵をプランクの作用量子に求めている。ちっさいおっさんがなんとかしてしまうあれである。今までの古典力学ではどうしようもないので、全く新しい体系をつくりそこにあてはめてしまおうという算段だ。プランクの考えた量子仮説はこうして生かされた。さらに、ボーアはリュードベリやバルマーが発見したスペクトルの法則を原子模型を用いて説明した。リュードベリ定数を理論的に導出することを可能にしたのである。そしてスペクトル線は、二つの異なる定常状態間を遷移するときに放出される輻射に対応することが分かった。世界が繋がった瞬間だった。

 後にボーアのこの理論(ボーアの量子化条件)はゾンマーフェルトによって一般化される。それゆえ、ボーアの論文集には「ゾンマーフェルトさんあざっす!」とたくさん書かれている。

 量子力学はまだまだ終わらない。ドブロイ波長とかシュレーティンガー方程式とかハイゼンベルクとかいろいろ出てくる。まだ理解していない。でもこれを早く書き終えなければ次のことが書けないので、頑張ろうと思う。つづく。

ニールス・ボーア論文集〈2〉量子力学の誕生 (岩波文庫)

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