マトリョーシカ的日常

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とくに意味を見いだせない神々の話/「インド神話 マハーバーラタの神々」

 紀元前五、六世紀になるとバラモン教の勢力は衰えるもやがてヒンドゥー教として復興する。ヒンドゥー教の主神はシヴァとヴィシュヌ、そしてプラフマー(梵天)である。シヴァは青黒いくびをしているがこれは世界の滅亡を救う際に猛毒を飲んだためである。住まいはヒマラヤ。ヴィシュヌはもとは太陽が明るく照らす様を神格化したものと見られる。彼の化身はクリシュナ、ブッダなど。プラフマーのことは良く知らない。

 ヒンドゥー教の代表的な文献は『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』である。マハーバーラタは十八篇十万詩節の大作だ。どのくらいかというと、イーリアスとオデュッセイアをあわせたものの約七倍である。多い。物語の筋は、バラタ族のうちのパーンドゥの五王子とクルの百王子との間の確執、それに続く戦争である。しかしこれは本編の五分の一程度しかなく、その間には神話や物語や伝説が挿入されている。ラーマーヤナは七篇二万四千詩節よりなり、人間がはじめてつくった文学作品とされている。昨日書いていたリグ・ヴェーダはもとから存在していたものと考えられているらしい。

 神話を紹介する。大海の撹拌と甘露という話。むかしむかし、神々はメール山に集まってどうやったら甘露(アムリタ)を手に入られるか相談していた。アムリタは飲めば不死となれる飲み物であり、みなの注目の的であった。ヴィシュヌは梵天に「神もアスラも、みんなで協力して海をまぜまぜしないさい。そうすれば出てくるよ」と言った。そうすることになった。そこで神々はマンダラ山を引っこ抜き、海まで運んだ。亀キング・アクーパーラさんの背中に山を反対向きにしてのっけると、山に大蛇ヴァースキをぐるぐると巻き付けた。大蛇を両側からひっぱりあうことで、海を撹拌しようという算段だ。

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 よいしょー。よいしょー。

 ヴァースキ竜王は強くひっぱられて、口から煙と焔のまじった風を何度も吹き出した。

 多くの海中の生物が大山につぶされて死に絶えた。

 マンダラ山がまわされている間に、大木が互いにこすれあって山から落下した。

 神々「めっちゃ疲れたけどアムリタ全然でてこない。ヴィシュヌさん助けてー」
 ヴィシュヌ「ええで」\ パワーアップ /

 すると、大海から太陽と月が出現した。それからシュリー女神(吉祥天女)が白衣をまとって出現した。(シュリーはヴィシュヌの妃となる。)それから、酒の女神(スラー・デーヴィー)、白馬、宝珠カウストゥバ(ヴィシュヌの胸に懸かる)が次々と現れ、最後に、甘露を入れた白壺を持つダヌヴァンタリヌ神(神々の医師)が出現した。

 アスラたちはアムリタを自分たちのものにしようと悪巧みもするも、神たちはそれぞれアムリタを飲んでパワーアップし、勝利をおさめる。マンダラ山を元の位置に戻し、アムリタを安全な貯蔵庫にしまい、その守護をインドラに任せた。

 めでたしめでたし。


インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

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