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マトリョーシカ的日常

ワクワクばらまく明日のブログ。

今年読んだ本から適当に選んでチョイスしたセレクション5選。

読書

 本には何も書かれていない。これは、僕が読書から得た最大の成果である。彼らは何かを話すが、それは読者を直接的に幸福に導くことはなく、あくまで触媒として作用するだけだ。答えは自分の中で既に持っているし、どうやるかも分かっているはずだ。ただ今の考えを後押ししてくれる存在が欲しいから、人は本を求める。白紙の本に。

 そういう経緯で今年もたくさんの本を手に取って、感想や意見をここに書いてきた。今回はその中から適当に選んだチョイスをセレクションしたものをピックアップしよう。

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ルース・ロビンス,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/01/16
  • メディア: 単行本
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【書評】自分の影を受けいれる強さを持つ/「ゲド戦記」【感想】 - マトリョーシカ的日常

 ゲド戦記の一巻を今年の早い時期に読んだ。話の内容はタイトルの通り、影との戦いだ。人は得体の知れないものに恐怖を感じやすい。質量や質感が理解できる存在なら対抗策を打てるが、影や風にはなす術もないからだ。主人公のゲドは自身が生み出した影から逃げ続けるが、オジオンの助言によって影と向き合うことを決意する。「人は自ら川にならねばならぬ」は名言。


ロボット (岩波文庫)

ロボット (岩波文庫)

【書評】アンドロイドはアースノーマットの夢を見るか/「ロボット」【感想】 - マトリョーシカ的日常

 ロボットの語源ともなった作品。人間たちはついに労働を肩代わりする機械を発明したが、痛みを実装したために彼らは自我を持つようになる。痛みとは死を意識する感覚であり、死は世界の終わりだ。「これで安らかにいけるわ」なんて言う人もいるが、心のどこかで物語が終わることを恐れている。僕らは痛みに対して敏感でならなければいけない。よりセンシティブにイノベーティブをよいこらしょしていこう。


ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

リーン・スタートアップを否定する、完全計画世界/「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」 - マトリョーシカ的日常

 0から1を生み出すにはテクノロジーが必要だ。テクノロジーは既存の物をビルドアップすることではなく、全く新しい何かを生み出すことだ。この本ではあいまいな楽観主義を捨てて、明確な楽観主義を持つ重要性を説いている。しっかりと計画を立てて、未来を設計しない限り明日は来ない。「発明は既存のモノの組み合わせにすぎない」という言葉もあるが、予想の次元を超えたすごいものを作るには、全く別の空間からアイデアを持ってこないといけない。僕は時々頭の切れ端をメモ帳に記しては、それが実現することを夢見る。できるだろうか、できるようになりたい。


偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

  • 作者: フィリップ・K・ディック,土井宏明(ポジトロン),小尾芙佐
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/05/31
  • メディア: 文庫
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【書評】完全なランダムにはストイックな逃避が似合う/「偶然世界」【感想】 - マトリョーシカ的日常

 SF小説。作中の世界は、最高権力者がランダムで選ばれる。完全なる無作為によって支配された時に人々が講じる策は、ミニマックスの理論、つまりストイックな非干渉を行うことである。何も足さない、何も引かない。CPUの流れに身を委ねる。飲み会に誘われることがないように極力存在感を薄めることは、ストイックな非干渉に通じる何かがあるのだろうか。ないな。


1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

【書評】出口は必ず存在する。存在してしまう。/「1973年のピンボール」【感想】 - マトリョーシカ的日常

ピンボールの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。

 ピンボールに意味を求めてはいけない。それは何も与えないし、何も生みださない。それでもコインを投入するのは、人生における苦味をどこかで中和したいから。求めるな。導くな。侮るな。恐れるな。受け入れたいなら、この本を読もう。


 言葉が欲しくて本を読む。冊数は減るだろうが、来年も読むのだろう。それでいい気がしてきた。一冊の文庫本から、ひとつのフレーズを抜き出すことができるなら、それは素晴らしいことだ。

 良いお年を。